●フランス書店事情 #4
 小さな町の文化発信源:L’art Des Mots
 

久々の「フランス書店事情」突撃インタビューは、いきなり田舎編。パリからバスで1時間半揺られた小さな町LORREZ−LE−BOCAGE(ロルレ・ル・ボカージュ)にある、かわいい本屋さん“L’ART DES MOTS”を取材させて頂きました。

LORREZ−LE−BOCAGEは、パリと同じイル・ド・フランス地域圏にあり、フォンテーヌブローの南東に位置する人口約1300人の小さな町。
実は、今回お伺いしたこの本屋さんで、11月末から私の作品展示をして頂けることになったため、会場見学を兼ねて…という訳なのであります。
今回は、女性書店主のドミニクさんを中心にお話しをお聞きしました。

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 ↑≪ L’Art des mots ≫外観
長距離バスを降りた所が本屋さん入口です
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 ↑温かい雰囲気の店内

●書店名について
“L’ART DES MOTS”という書店名のARTは英語と同じ「芸術」。MOTは「言葉」。「本は芸術を語り、芸術も言葉を持っている」…という感じの意味のようです。「芸術」も美的価値のある物のみならず、もっと幅広い意味ではないかという印象を受け、とってもフランス的だと感じました。

●扱っている本のジャンルは?
文学・芸術・自然・料理・哲学・子供の本…と、多岐に渡っていました。

●今一番売れている本は?

とお聞きしたら持ってきて下さったのが、この3冊。

MILLENIUM(ミレニアム)という作家のこの本の表紙は、そう言えばパリのメトロの中でもよく目撃しました。

2冊目のANNA GAVALDA(アンナ・ガヴァルダ)という作家の本は「日本でも翻訳本が出ているんじゃないの?」と言われながら持ってきて下さったものの聞いたことがない…。が、調べてみたら、ありました。日本では“Je voudrais que quelqu’un m’attende quelque part”という大変長いフランス語タイトルが「泣きたい気分」という6文字に変身して出版されていました。

3冊目は、ドミニクさんのお気に入りの本。「世界の女性」というタイトルのようですが、タイトル通り様々な人種の女性のポートレートやデッサンが盛り沢山。興味をそそられる本でした。

その他、フランスでは、毎年10月中旬から11月中旬にかけて、ゴンクール賞などの文学賞の発表があるそうで、その後、各賞の受賞作品が本屋さんに平積みになるのだそうです。

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ミレニアムの本
アンナ・ガヴァルダの本
「世界の女性」

●お店の特徴や工夫している点は?
と質問するまでもなく、ギャラリーを兼ねたこの本屋さんは大変に特徴的でした。展覧会は6週間毎に展示替えされているとのこと。
もともと、2005年に現代絵画のギャラリーとして始められ、2008年3月に本屋さんを併設されたのだそうです。
そして、来年の9月には、絵画展覧会をはじめ多目的ホールとして使っている別棟の2階に書店部分を移動させるようです。
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ギャラリースペース
ちょうど開催されていた展覧会の案内状
ステッチで作られた、とても素敵な作品でした

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↑別棟のギャラリー
  2009年9月からは、ここの2階に
書籍コーナーを移転されるようです

●本屋さんという職業をどう思いますか?
この質問にはアシスタントの方が答えて下さいました。
「本は、夢を見させてくれたり、気分転換させてくれたり…。沢山の物をもたらしてくれる。それに、本を通していろいろな人と会話ができる素晴らしい職業よ」と、にこやかに答えて下さいました。

初めて取材させて頂いたフランスの田舎の本屋さんは、とても温かい雰囲気に包まれていました。「本」という媒体は元より、絵画展やその他のイベントを企画し、立体的な形で町に文化を提供している今回の本屋さんは、きっと地元住民の方々からとっても愛されているのではないかと感じました。
パリのような都市には都市の、小さな町には町の、それぞれの地域に適した運営方法があるのではないかというのが、今回初めて田舎の突撃インタビューを試みての実感です。

私事でもあり恐縮ですが、11月末からこの本屋さんで展覧会をさせて頂くので、是非また続編をお届けしたいと思います。

今回の書店: L’Art des mots
20 rue Emile Bru 77710
Lorrez Le Bocage
Tel : 01 64 31 03 56
営業時間:火〜土曜日 
10 :00〜12 :00
14 :00〜18 :30
 

2008年10月5日  荒木 芳栄