2005.November

■フランス情報 mail from France #7

メトロ(地下鉄)事情
パリで困ることの一つは、平気でスト権を行使すること。
労働者の権利なので、フランス人は文句を言ってもストライキそのものについては寛大、当たり前だと思っている人が多いようです。
そうは言っても、メトロ等の利用頻度が高いものがストライキに突入すると、間引き運転などでかなり生活に支障を来します。
その上、思わぬ時期に勃発したりするので、パリでの要注意事項であります(そう言えば、先日ベルリンに行ったときも空港行きの電車がストで大変な目に遭いました…)。


メトロのホーム

ところで、このパリのメトロ、パリには本当にいろんな人がいるなぁーと思う小世界であります。
乗車するとよくアコーデオンやギター弾きなどのミュージシャンに遭遇します。レベルはピンキリ。うるさいので席を移る人も見かけますが、個人的には好きな人達。
…が、法律的にはメトロ車両内での演奏活動は禁止。「コントロール」と呼ばれる取り締まりの人に捕まっているミュージシャンを時折見かけます。ただし、メトロの駅の通路などで演奏している人は、RATP(パリ市交通公団)の許可を得ている人が多いようです。



ある日のメトロ車内
この国では何が起こっても不思議ではない…
と思った瞬間でもありました。

先日は、自作の童話らしきものを突然語り出すおばさんが同じ車両内に出現。通路での独り舞台だったにもかかわらず、表情たっぷり・派手なアクション付きだったので、あまりの度胸に思わず見入ってしまいました。
半年ほど前、頂いた胡蝶蘭の鉢植えを手にして乗車した際には、ホームレス風のおじさんが手入れの仕方を指南して下さり感激しました。
その他、メトロ内にはスリも多いです。統計によると、14本あるメトロ路線のうち、スリが一番稼ぐのは1番線と4番線だとか。ルーブル美術館やノートルダム寺院を通る、観光地も観光客も盛り沢山の路線だからでしょうか?

とにかく、メトロ内は様々なジャンルの人達が様々な活動している場所であります。


パリのメトロ路線図

そんな人達の中で、私が最も頻繁にお会いするのは「お邪魔してすみません…」というセリフから突然語り始める失業者や物乞いの人。
そのセリフの後には「私には仕事も住む所もなくて、子供がいて…」、「僕には仕事がなくて、病気で…」と言った内容が続きます。
そして、自分の身の上を滔々と話した後には「小銭やレストランのチケット(フランスの一定条件以上の企業で支給されるようです)、メトロの切符やタバコを恵んで下さい」と言うセリフで締めくくられます。
「病気でもタバコを吸うのか?」と思ったりもしますが、事情は人それぞれ。おまけに、アトリエの行き帰りあたりだと、私の方が身なりの悪い場合があり、金品回収の際に素通りされ反省することも…。


メトロのチケット
現在、チケット1枚1.4ユーロ。
改札を出なければパリ市内乗り継ぎ自由。

と言う訳で、メトロでは連日、こういった人生ドラマが展開されています。
まさに一期一会の出会いが凝縮されたような場所で、異邦人の私にとっては興味津々。新しい発見が多い場所でもあります。

それにしても、このストライキだけはやっぱりご免被りたい…。


PS:11月22日、シャンゼリゼ大通りにクリスマスのイルミネーションが
  点灯されました。本日見に行ってみたら、大感激の美しさ!!
  パリはすっかりクリスマスムードです!

PPS:11月25日、パリに初雪が降りました!

2005年 11月25日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #6

ベルギー
11月13日、日帰りでベルギーに行って参りました。
2週間前はベルリン、今回はベルギー。
お世話になっているアーティストのマリーさんがブリュッセルで個展を開催されており、日頃のご恩返しのためにも足を運ぶことにしました。


ギャラリー
ギャラリーのオーナーも日本贔屓。
日本の物が持つ独特の空間や雰囲気が好きなのだと
言われていました。良い感じのギャラリーでした。

マリーさんはフランス人でパリ在住。お父さんは“ジェネラル”の称号を持つ退役軍人さん。本来ならば私何ぞが懇意にして頂けるようなクラスのご家族ではないと思うのですが、親日家でいつお会いしても本当に温かく接して下さいます。


マリーさんの作品 和紙のコラージュ

彼女の作品は、和紙を使ったコラージュ。和の素材ですが、出来上がった作品はフランス風。1点1点とても素敵で個性的。和紙もフランス人が手掛けるとこんな風に変化する物なのか…と、感性の違いを感じながら拝見しました。

お昼は、応援に来ていた娘さんを含んだ家族の食事に同席させて頂きました。
日帰りのため観光できたのはギャラリー近くのサン・ミッシェル教会のみ。今回は、残念ながら「小便小僧」を見に行く時間もありませんでしたが、観光以上に大切なものを沢山得た一日となりました。

 


サン・ミッシェル教会(ブリュッセル)



サン・ミッシェル教会内のステンドグラス


購入したポストカード小便小僧4変化


PS:11月17日、ボジョレーヌーボーが解禁となりました。
  今年のヌーボーも大変質が良いそうですよ。

2005年 11月18日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #5

パリ近況・ベルリン
今週はネタ選びに悩んだ挙げ句、2本立て…。

まず…、11月4日(金)〜6日(日)までベルリンに行ってきました。
ベルリンのテレビニュースのトップに、見慣れたうちの近所の風景が流れてビックリ…。パリ郊外で始まった暴動が激化し、我が家の近所のレピュブリック広場でも車数台が放火されたとのこと…。

ベルリンから戻った6日の深夜には、斜向かいのアパート2階の男性と警官隊がしばらく言い合い…。その後、警官数人が、外壁に取り付けられたハシゴから窓ガラスを叩き割り、アパート内に突入していく様子を目の当たりにして驚きました。
暴動との関連性は不明ですが、パトカーやはしご車でアパート前の通りは大騒ぎ…。深夜の大事件に近所の住人もみんな窓から顔を出し、事の顛末を見守っていました。


8日には、フランスに非常事態宣言が発令され、一部地域では夜間外出禁止令が出されました。フランス本土での非常事態法の適応は1961年以来とのことですが、パリ市内は今のところ混乱もなく落ち着いた状態が続いています。

今回の暴動事件は、パリ郊外で警察に追われた移民系の少年が変電所で感電死したのが事の発端とのこと。警察が工事現場への不法侵入を確認しようとしたところ逃走したそうです。
現在、フランスは人口の7,65%が「移民」。移民1世と異なり、今回暴動の中心となった2世や3世の若者はフランス国籍を持つ「フランス人」。彼らは決して最貧層ではないと思うのですが(より悪条件で生活している外国人籍の人なんかが沢山いると思うのですが…)、不当な差別を受けているという日頃の不満の鬱積に今回の変電所事件が火を付けたようです。
暴動自体は沈静化してきている様子ですが、油断できない状況が続いているので、個人レベルでの危機管理を怠らないようにしたいと思っています。

話は振り出しに戻って、ベルリンの話…。
2泊3日の小旅行でしたが、行きはまず寝坊に加え、空港行きのRER(高速郊外鉄道)のスト…。シャルル・ドゴール空港に着いたのは、出発20分前…。
チェックインカウンターに駆け込むと、サテライトのトラブルとか何とかで予定機の出発は3時間遅れるとのこと…。ハプニング続きでパリを発ちました…。



ベルリン街角

昼過ぎに着いたベルリンは、東西が混在した魅力的な町。パリよりも公園や街路樹が目につき、紅葉した木の葉や落ち葉にヨーロッパの秋を感じました。
さすがに3日間の短い滞在ではまわり切れませんでしたが、特に印象深かった場所をご紹介。


カイザー・ヴィルヘルム記念教会
空襲で破壊された姿のまま保存されています。


ベルリンの壁のかけら
壁博物館で買いました。5.5ユーロ。

●壁博物館
近くに「チェックポイントチャーリー」と呼ばれる国境通過地点などが残されています。博物館内には、ベルリンの壁の成立から崩壊まで、また、西側諸国への逃亡の成功例や失敗例の展示物やビデオ上映など…。成功例のパネル展示などを見ても明るい気持ちにはなれない重苦しい博物館でした。


ブランデンブルク門

●ブランデンブルク門
冷戦中は東西分断、現在はドイツ統一の象徴。

●ベルリンフィル
公演前日、駅のチケット売場で入場券を購入しました。当日ならフィルハーモニーの会場でも入手可能なようですが、かなり人が並んでいました。
ドボルザークとマーラーのシンフォニーを聴き、感無量!!
ベルリンに来てよかった…としみじみ思いました。


絵画館

●絵画館(美術館)
フェルメールやボッティチェリ、ブリューゲルやレンブラントなどなど…巨匠が勢揃い。ルーブル級の混雑ぶりかと思いきや、中は閑散…。意外な状況でした。

ベルリンは市バスがとても利用しやすかったです。
100番・200番の2階建てバスに乗れば、ベルリン市内の見所をかなり網羅できます。


シャルロッテンブルク宮殿

食べ物は、やっぱりビールとソーセージ!
町のスタンドで売っているようなソーセージでもかなりイケてました。但し、ベルリン名物「ベルリーナ・ヴァイセ」というビールのシロップ割りは、話の種に一度飲んだらもういいや…という味でした…(でも、病み付きになる人もいるのかも…)。
ドイツ語は「ダンケ(ありがとう)」しか知らず、サバイバルな3日間でしたが、パリに戻る頃には「グーテンモルゲン(おはよう)」から始まってドイツ語力も7倍くらいにアップ。
道を教えてくれたりした人々も大変親切だったので、ベルリンはいろいろな面で好印象。良い旅ができました。

2005年 11月12日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #4

TOUSSAINT(万聖節)
フランスでは11月1日は祝日。
TOUSSAINT(トウッサン:万聖節)と呼ばれ、お墓参りの日でもあります。
町の花屋さんも菊の花でいっぱいになるので、この時期、事情を知らずに町を歩くと、「フランス人は無類の菊好きか?」と首をかしげるかも知れません。
…が、これはお墓参り用。


お花屋さん
店頭は菊の花でいっぱい

…というわけで、私もお墓参りの日に乗じて「ペール・ラシェーズ」と言う墓地に行って参りました。
ペール・ラシェーズ墓地はパリの東に位置し、43ヘクタールもの敷地面積を有する広大な墓地です。ショパンやバルザック、モディリアニなど、著名人のお墓が多いことでも有名。全員ご存命であれば正に夢の競演…。
入り口では2ユーロで墓地用地図も売っており、「墓場で迷子」というシチュエーションを回避するため、私も一部買わせて頂きました。

購入した地図によると、この墓地内には歴史上パリで亡くなった最初の日本人とされる、佐賀県出身の野中元右衛門という方のお墓もあるとのこと。
1867年のパリ万博に派遣団の一員として随行し、パリ到着の日に、パリを見ずして急死されたと書いてありました。


墓地用地図(部分)


ショパンのお墓



墓石いろいろ
(↑クリックで拡大版が開きます)

また、このペール・ラシェーズ墓地には火葬場もあるそうです。
最近フランスでも特に大都市で火葬が増えてきたとのことですが(現在4人に1人が火葬)、フランスの場合は日本と異なり遺灰になるまで焼かれるようです。遺灰も公道以外なら散布可能とか…。
ペール・ラシェーズ内にも“Jardin du souvenir(思い出の庭)”という芝生の庭があり、遺灰を撒けるようになっています。そういう主意の庭だけに、芝生内は立ち入り禁止。小さな看板が立っています。

私が訪れた日はお天気も良く、公園散策気分で同じように地図を片手にした観光客と沢山すれ違いました。…が、それとは対照的に、目に涙を浮かべながら肩を寄せ合っているカップルも目撃。
いくら観光地化されているとは言え、墓地はやはり墓地。神聖な場所であるということを痛感しました。

2005年 11月1日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #3

SALON DU LIVRE (古本市)
古本市に行ってきました。
2週連続本の話になるので、話題を変えようかとも思いましたが、入場料に7ユーロも徴収されたため「これは意地でも書かねば…」と思った次第であります。


会場内のクロッキー

今回で58回目を迎える古本市、今年のテーマは「キャバレーとミュージックホール」とのこと。“Espace Champerret(エスパース・シャンペレ)”という会場で10月21日〜30日まで開催されていました。

広くてやや薄暗い会場内には古本屋さんのブースが所狭しとひしめき合い、古い本の臭いが充満…。“LIDO(リド:パリの有名なキャバレー)”などの年代物のポスターがあちこちに貼られ、かなりノスタルジックな雰囲気…。

各ブースには、アカデミックな古本からキッチュな雑誌、50サンチーム(約70円)のアンティークカードから恐るべし値段の古本までが山積みされたり陳列されたり…。中にはコンコルドの古い食事メニューや需要があるのか聞いてみたくなるような古ぼけた卒業写真といった変わりどころも…。
まさに「古い紙類なら何でもござれ」という感じでした。

会場奥には、ミュージックホールで使用された衣装などが申し訳程度に展示されていましたが、来場者の目的はやはり古本やアンティークカード。かなりの人で賑わっていたので、コレクターには垂涎もののイベントであることを認識しました。

会場内のスケッチをしようと思いましたが、人が多くてさすがに気後れしたため、今回は簡単なクロッキー1枚と買った古い絵はがき等のご紹介。


買った絵はがき(ルーブル美術館 1905年)
1ユーロでした。


ルーブル絵はがきの文面
叔父(伯父?)さんに宛てた葉書のようですが、100年後日本人の手に
渡ることになるなんて、きっと夢にも思わなかったことでしょう…。


買った絵はがき(オペラ座 1930年)
車と人以外はあまり変わっていないような…。


かつての仏領植民地地図
5枚シリーズで20ユーロ(約2800円)也。
50年ほど前に刷られたものだそうです。思わず衝動買い…。

2006年の2月(同会場)と4月(Espace Charenton :パリ12区)にも古本市が開かれるようです。会場内には軽食用のバーも数カ所あったので、休憩しながらゆっくり過ごせます。
ご旅行の予定などがあれば、是非立ち寄ってみて下さいね!!

PS:フランスは昨日でサマータイムが終わり、日本との時差が−8時間になりました(昨日まで、時差−7時間でした)。

2005年 10月30日
荒木 芳栄