2005.October

■フランス情報 mail from France #2

LIRE EN FETE(読書まつり)
10月14・15・16日の3日間、パリを始めフランス各地で“LIRE EN FETE(リール・アン・フェット)”と呼ばれる催し物が開催されました。日本語にすると、さしずめ「読書まつり」という感じでしょうか…。
今年で17回目というこのお祭り、昨年まで見逃してきてしまいましたが、今年は好奇心と使命感に駆られ、ちょっとのぞいて参りました。
…と言っても、会場は一カ所ではなく、各書店を始め、本や文学に関する記念館や博物館などあっちこっち。フランス内外で約4000カ所(日本でもフランス関係機関で古本市などをやっていたようです)。多すぎて絞りきれず、「国立古文書館」という、今まで縁もゆかりもなかった近くの博物館を訪ねてみました。


国立古文書館

そこは、「18世紀のパリ」がテーマになっており、会期中は入場無料。
守衛さんのいる外のゲートから庭園に一歩足を踏み入れると、そこは予想外のワンダーランド。当時の衣装に身を包んだ関係者が用もなく(…あったのかも…)ウヨウヨ、ウロウロ…。庭園を取り囲む博物館の建物が古いことも手伝って、映画のセットの中にでもいるようなタイムスリップした不思議な気分になりました。

博物館の中では、ちょうど古書や古地図の修復作業のデモンストレーションが行われていました。その中で、ヴェルサイユ宮殿関係の建築設計図を修復していたおじさんにお話を伺ったところ、「ヴェルサイユ宮殿には、使われなかった設計図が山のようにあるんだよ」と、その貴重な資料の一部を見せてくれました。
「修復作業には日本の和紙を使うんだ。和紙は薬品を使っていないから中性で長持ちするんだよ。丈夫で素晴らしいね」と和紙を絶賛。ついでに修復用の糊には穀物の粉に水を混ぜた物を使うのだそう…。「乾いてもしなやか」なのだそうです。

他にも1730年代のパリの地図等の展示や、博物館の外では子供のための本作りのアトリエや昔の本の装丁作業、それから関係本を販売するテントも張られていました。いずれもスタッフは18世紀のコスチューム。大人から子供までが自然にテーマ「18世紀のパリ」に溶け込める、とても楽しいイベントとなっておりました。


子供用の本作りアトリエ 
紙やひもを使って本作り。
別のコーナーではカリグラフィーも教えていて、
みんな楽しそうに自作の本に文字を書き入れたりしていました。


本を綴る女性

その他、書店などでは夜の延長営業を行い、作家を招いての講演会や本の朗読会、物語や料理本に登場するお料理のビュッフェ、コンサートや人形劇、演劇などなど…「本」絡みの様々な催しを無料で行っていたようでした(こちらは残念ながら見に行く時間がなかったのですが…)。

「本」をいろいろな角度から立体的に見直したこのイベント、私の場合は記念に絵はがきを5枚ほど買って会場を後にしました。


買った絵はがき
マリー・アントワネットの洋服の端切れ(1782年)

PS:フランス語サイトですが参考までに…
「LIRE EN FETE(読書まつり)」→ http://www.lire-en-fete.culture.fr/
「国立古文書館」→ http://www.archivesnationales.culture.gouv.fr/chan

2005年 10月23日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #1

ご近所紹介
「何から書こうかなぁ…」と考えた初回は、まず我が家の近所の紹介から。
旅行等で訪れてご存じの方も多いと思いますが、パリは案外小さな町です。ガイドブックにはよく「長径11q、短径8q、山手線の内側くらい」と、その大きさを記してありますが、同じ山手線の内側でも東京の方が大きいように感じられるのは高層ビルが多いせいでしょうか…。

パリの中には、カタツムリ状に20の区が存在しています。


私が住んでいるのは11区のR e publique(レピュブリック)。
ちなみに、フランスの正式国名は「フランス共和国(フランス語では『レピュブリック フォンセーズ』」。うちの最寄り駅は、おそれ多くも「共和国」という名前なのであります。
しかしながら名前の立派さとは裏腹に安宿が多いような地域なので(駅周辺には高級ホテルもありますが…)、バックパッカーでもない限り、日本人は元より観光客には敬遠されがちな、いわゆるパリの下町です…。

メトロ(地下鉄)レピュブリック駅上の広場には「マリアンヌ像」と呼ばれている女神像があります。「マリアンヌ」は自由の女神像のモデルでもあり、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」に登場する女性。実在したマリー=アンヌ・モナ(Marie−Anne MOUHAT)という女性から名前を取ったようです。
フランスのシンボルとして、切手やフランス政府のロゴマークなどに幅広く使用され親しまれています。
この女性像のある広場から徒歩5〜10分ほどの所には、フランス映画「アメリ」にも登場したサン・マルタン運河の鉄製の歩道橋や映画「北ホテル」の舞台になった「H otel du Nord(オテル デュ ノー)」があります。
下町ならではの情緒あふれる界隈です。


レピュブリック公園

 その近くにはBelleville(ベルヴィル 直訳すると「美しい町」)という、これまた名前にそぐわない雑然とした中華街もあります。
パリを一望できる高台にあることからこう呼ばれるようになったそうですが、産業革命を境に労働者の街と化し、その後諸外国から様々な人種が流れ込んできた、言わば流れ者(…と言う近所の私もその一人)の町…。中国・アラブ・アフリカ・ユダヤ・東欧など…、パリの中でも移民が多いエリアです。


船が通る時には、25メートルある水位の
高低差を9つの水門で調整しています。

このように、我が家の近所は、シャンゼリゼやセーヌ川河岸の華やかなイメージとは異なる「裏のパリ」ですが、下町独特の風情や魅力にあふれたところでもあります。

パリが人を惹きつける理由の一つは、この「山手線サイズ」の都市に、様々な顔が混じり合って同居している事ではないでしょうか。優雅な観光地から生活臭漂う下町まで。どこを見ても、それぞれに味がある町だと思います。


近所で売っているアルジェリアのお菓子。一つ1.5ユーロ也。かなり甘い…。

「パリには何度も行った」という方も、是非次回は違った側面を発見してみて下さい。
ただし、下町散策の際にはドレスダウンして、スリにはくれぐれも注意して下さいね!

2005年 10月16日
荒木 芳栄