2006.January

■フランス情報 mail from France #14

アトリエ( Atelier )
私生活の話題続きですが、日中とてつもなくブラブラしているように見えるらしいので(実際、ウロウロ、ブラブラしてますが…)、今回はアトリエの話。

現在、私は2つのアトリエに通っております。火曜日の午前中だけパリ郊外にあるデッサンのアトリエ。それ以外の月〜土曜日の日中は、パリのモンパルナスという所にある銅版画のアトリエ。
アトリエにもちゃんと先生がいるのですが、基本的に作業場。学校とは異なるようです。

私の場合は、日本でも美術学校には行った経験がなく、仕事の合間に通っていた地元のカルチャーセンター「油絵教室」育ち。ただ、カルチャーセンターの先生や環境がとっても良かったおかげで絵を描く楽しさを知り、趣味が高じてパリまでやって来てしまったという訳です。

パリには様々なアトリエがあり、芸術にも順番があったりします(第1が建築、第2が絵画、第3が彫刻、第4が版画、第5が音楽、第6が舞踏、第7が映画です)。芸術文化には大変力を入れる国なので、一般の人の関心度もとても高いように思います。

私が通っている火曜日のアトリエ(デッサン)の先生は、ポーランド人のクリストフ。生徒は、私以外全員フランス人。フランス人の友達に紹介してもらって、1年ほど前からお世話になっています。
午前中3時間の授業のうち、前半は、家で描いてきた各々の作品の批評。後半はアトリエ内のデッサン。私の作品は「整いすぎている」と、ことごとく先生に手を入れられ破壊されていましたが、最近は元からやや壊れ気味に…。逆に、フランス人の作品は、かなり自由奔放な物が多いのですが何となくセンスが良かったり…で目からウロコ。
夏はみんなでピクニックに行ったり、授業の後に持ち寄りパーティーをしたり、かなりアットホームなアトリエです。


先日描いたアトリエの水彩デッサン

銅版画のアトリエの方は昼休みを除いて終日開いており、登録してあれば出入り自由。アトリエ使用者の3分の一ぐらいはプロの版画家です。先生は2人でアルゼンチンとペルー出身。生徒の国籍はバラバラですが、日本人も多いです。銅版画は特殊技術が必要なので、最初の1ヶ月ぐらいは、先生から道具の使い方等を含んだ基礎を教えてもらいます。


ゴヤの銅版画集のコピー


コピーを見ながら作成した私の練習版
2年ほど前、アカデミックな銅版画のアトリエに
通っていた頃作成した練習版。
現在通っているアトリエはグラフィック的な多色刷りが主流。


「夜の工場 《 L'usine dans la nuit 》」
自作の色刷り版画(部分)

アトリエ内には、薬物・毒物・危険物がいっぱい。特に銅板を腐食させる時に使用する硝酸液等の取り扱いには注意を強いられています。
版画は、緻密で時間がかかる作業が多いので、本来ならば私のような大ざっぱな性格向きではないと思うのですが、意外なものが出来上がったりするのでナカナカ気に入ってます。


銅版画展“アンプレッション
2006年2月2日(木)〜28日(火)
月〜金曜日9:00〜18:00(入場無料)
Alliance Francaise : 101 boulevard Raspail 75006 Paris

2月にはパリのアリアンス・フォンセーズという語学学校の展示会場での銅版画展に参加することになりました。
もし機会のある方がいらっしゃいましたら、是非お立ち寄り下さいませ。

2006年1月21日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #13

公現節(エピファニー)
1月6日は公現節(エピファニー)。
キリストが神の子として公に現れたことを記念する日なのだそうです。
そして、この日、フランスでは「ガレット・デ・ロワ(王様のケーキ)」と言うパイを食べるのが慣わし。クリスマスの飾りを片付ける日でもあるようです。

「ガレット・デ・ロワ」は、パイ生地にアーモンドクリームが入っていて、甘さも控えめ。とてもおいしいです。パイの中には、小さな陶器のお人形が一つだけ入っていて、切り分けた時にこのお人形が当たった人が王様。パイ購入時には、紙で出来た王様用の金ぴかの王冠ももれなく付いてくるので、王様になった場合は、これをかぶってみんなから祝福を受ける…というシステムです。



ガレット・デ・ロワ

今年はまだ食べてないのですが(1月6日を過ぎても売っています)、昨年までの3年間は幸運にも連続で王様になりました。
昨年は、アトリエで王様になったのですが、何と!出てきたお人形の頭部がなく、最初から欠けていたのか飲み込んだのか…とにかく、飲み込んでいた場合、陶器の破片が人体に及ぼすダメージについて暫し考えることになりました。
お人形は今でも大事に部屋に置いてあり、頭部を何かで作ってあげよう…と思いながら今日に至っています。それ以前の年も、毎年のように何かしらエピソードがあり、私にとっては思い出深いイベントです。ついでに、陶器のお人形で歯を欠く人もいるらしいので、もし「ガレット・デ・ロワ」を食べるチャンスに遭遇しましたらご用心、ご用心。

…と、今回はここで終えるつもりだったのですが、昨日、友達と「メランコリー」という展覧会に行って来たのでその話も…。
16日で終了する特別展ということもあり、美術館の外の極寒の中、ほとんど動きのない行列に混じって2時間半待ち。雪国育ちの私もさすがにギブアップ寸前。周囲の人共々我慢大会と化しておりましたが、さすがに大混雑するだけあって会場内は一大メランコリア、二度とは観られないような展覧会でした。


「メランコリー」展

ちょうど13日の金曜日ということもあり、友達(フランス人)に、「フランス人は13日の金曜日を嫌うのか」聞いてみたら、あまり気にしていない様子で「フランスでは賞金の大きい宝くじを発売するビッグなチャンスがある日」と力説していました。13日の金曜日は、「スーパーロト」と呼ばれる、賞金1億5000ユーロの宝くじが発売される日なんだそうです。

結局、13日の金曜日が不吉とされる理由を自分で調べてみたところ、聖書内の凶事の多くが金曜日に起こっていることや、キリストの弟子関連の理由、テンプル騎士団虐殺の日…などが挙げられていました。

その日に発売されるスーパーロトは、夢を与えてくれる反面、私には何となくお金の持つパワーを示唆しているような気がしたりもしました。

2006年1月14日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #12

年末年始
今年は穏やかな年明けとなりました。
まず、年末には友人と、ノートルダム大聖堂での「グレゴリオ聖歌」のコンサートに行ってきました。
「グレゴリオ聖歌」とは、広辞苑によると「ローマ・カトリック教会の典礼に用いるラテン語の聖歌。男性の斉唱による単旋歌。グレゴリウス一世の編纂と伝承される」とのこと。…うーん…。



グレゴリオ聖歌のパンフレット

20時30分から始まった約1時間半のコンサートは、楽器等が一切加わらず人の声のみ。広辞苑の解説と異なっていたのは、10人ほどの歌い手のほとんどが女性だったこと。中に混じっていた男性も、友人によると「すごいソプラノ」だったそうです。

何層にも重なる歌声は、石造りの大聖堂内に反響して神々しい感じ。心が洗われるような美しい調べを織り成していました。…が、日頃聞き慣れないような心地よい響きと単調な旋律は、絶大な子守歌効果を発揮し、あちこちに睡魔と戦う人々の姿が…。かく言う私も、途中一度ばかり深い眠りの淵に引きずり込まれそうになりました。

同じ日、昨年4月にパリで初個展を開催した際、油絵の作品を購入して下さった通りすがりのドイツ人マダムから、家族写真やクリスマスカード、キャンドルやチョコレートなどが一つ一つきれいに包装されて箱いっぱい届きました。少し話をしただけで、ほとんど面識もないのに…と思ったら、不覚にも涙がこぼれました。
この日は、美しいグレゴリオ聖歌に加え、数日遅れのサンタクロースがやって来たようなうれしい1日となりました。


マダムから届いたチョコレート


同封されていたモミの木の一部

大晦日は、帰国せず(出来ず?)パリに残った友人同士で年越しパーティー。友人宅の窓からはエッフェル塔が見えるので、午前零時に上がった新年の花火にみんなで歓声を上げながら、夜遅くまで大騒ぎしました。

私は行ったことがないのですが、聞くところによると、大晦日のシャンゼリゼはかなり危険度が高いとか…。人が多いのに加え、ワインのビンが飛んできたり、酔っ払いや暴徒が騒ぎを犯したり…で、何かしらニュースになることが多いようです。シャンゼリゼに限らず、大晦日のパリは、どこもかしこも大騒ぎ。

そして元旦は、日本の厳かな雰囲気とは打って変わって、案外素っ気ない感じ。(真偽のほどは定かではありませんが、二日酔いで寝ている人も多いとか…。)
特に今年は、元旦が日曜日と重なったため2日の朝からは通常通り。公立の学校等は8日頃までお休みのようですが、私が所属しているアトリエは、気持ちの切り替えも出来ぬまま2日から作業開始。もっとも私に関しては、2日なんぞに正月気分が抜けるはずもなく、アトリエをサボって友達と映画に行ってしまいましたが…。

パリでのお正月も今年で4回目。
元旦には友人と書き初めもし、例年以上に和洋折衷…なかなかユニークな年の初めを迎えることが出来ました。

2006年1月7日
荒木 芳栄