2006.May

■フランス情報 mail from France #31

「ピラミッド包み」
今週は、ほとんど自宅で過ごした動きのない地味な一週間となりました。
…と言う訳で、とりわけイベントもなかったのですが、夕食の買い物ついでに、近所のパン屋さんでバゲット(フランスパン)と久々にケーキを買ったら、とてもパリっぽい物を手渡されました。

手渡された物は、個人的に「ピラミッド包み」と呼んでいるケーキの包み。正式名称があるのかないのか、世間で何と呼ばれているのか、リサーチ不足で定かではありませんが、とにかくパリのパン屋さんでケーキを買うとよく目にする代物です。

ピラミッドの底の部分には、トレーの役割となる厚紙が敷いてあります。フランス人は手先が不器用なイメージがあるものの、観察していると実に手際よく、あっという間にケーキが四角錐の中に包み込まれていくのであります。
更に、上の方には持ち手ともなるヒモまで付いているという親切設計。ただし、このヒモをブラブラさせながら持って帰ると、家に着く頃にはケーキが原形を止めていないので要注意です。

些細な物ではありますが、この「ピラミッド包み」を手渡されると、ちょっぴり幸せな気分になったりします。

2006年5月28日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #30

手紙
6月にまたしても個展をする予定で、今月も再び家に缶詰の日々…。
先日は、気分転換に「Musee des Lettres et Manuscrits (手紙と自筆原稿博物館…直訳するとこんな感じでしょうか…?)」に行ってきました。

パリ中心部のオデオン駅近くにあるとても小さな博物館で、私が訪れたときには他に入館者が一人。
受付でもらったパンフレットには日本語の解説も載っているのですが、家にある日本のガイドブックには、いずれにも記載なし…。あまり知られていない様子の博物館ですが、静かでとても良い雰囲気です。
博物館の人もとても親切で、受付が済むと奥から責任者のような方が出てきて「わからないことがあったら、何でも聞いて下さいね」と、一声掛けて下さいました。


博物館のパンフレット(部分)

陳列ケースの中には、誰もが知っているような著名な作家・画家・音楽家などの手紙や、直筆の楽譜がズラリと展示されていました。いずれも、すこぶる達筆。ほとんどが筆記体で書かれており、まさに流れるような文字。
ケースの上には、書いた人物の写真パネルも展示してあるので、内容はわからなくても誰が書いたかぐらいは理解でき、「この人はこんな字を書いたのか」としげしげ眺めてしまいました
ベートーヴェンやミロのダイナミックな文字から、ショパンの繊細そうな文字まで。お会いしたことはありませんが、イメージ的に何となく人柄を表しているような感じがしました。

パンフレットの解説によると、アインシュタインがベッソーと相対性理論を計算した紙から、アイゼンハワーが1945年に出した停戦命令など、展示物は本当に貴重な物ばかり。その他、カミーユ・クローデルが、切り離されたロダンとカミーユをモデルにした彫刻を「元の一つの形に戻して下さい」と哀願する手紙など。

歴史上の人物が一堂に会し、中にはマリーアントワネットのように悲運の死を遂げた人物の手紙もあり、「これを書いていたときは、みんな生きていたんだなー」と、とても不思議な気持ちになりました。

たいがいの用事はメールで済ませてしまう昨今、改めて「手紙」という伝達手段について考えさせられた博物館でした。


開館時間などの詳細です。今回はお手紙風に…。
読みにくくてゴメンナサイ。

もっと詳しく知りたい方は、ぜひ博物館のホームページをご覧下さい!
www.museedeslettres.fr

2006年5月20日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #29

所得税
「花のパリ」…でも、住むのはやっぱり大変。
現在、フランスは所得の申告時期です。こちらでは、所得税が源泉徴収されることがないようで、自分で申告せねばなりません。例年よりやや遅れているものの、ウチにも例に洩れず、税務署から2005年度所得の申告用紙が届きました。


今年は、すでに記入が必要なものが印字されているので、
金額に間違いがあれば訂正するだけのようです。
これは、訂正の仕方の見本。

異昨年までは自分で計算したりして、必要事項を全て手書きで記入していたのですが、本年度やってきた申告用紙には、自分の所得などのデータが既に印字してあり、署名して返送するだけ。「ずいぶん進化したな〜」と感心していたら、数字の入力ミスが多発しているようなことを耳にしました…。

私の場合、今年は他に、絵画作品等の所得申告もする事になり、先月末からアーティスト用の申請番号の取得手続きや何やらで、足繁く税務署に通っています。

日本にいた頃は、勤務先はやや特殊でしたが、通常のOL経験しかなく税務署に足を運ぶような機会もなかったので、税金に関する知識もほぼ皆無…。1つ1つが大変勉強になっています。

それにしても、やって来る書類は容易に解読できないものばかり…。わからない内容のものが一層わからず、「外国人って大変だなぁー」としみじみ思うのであります。

2006年5月13日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #28

名前
昨日、役所から郵便物が届いたのですが、よく見ると名前のスペルがビミョーに違う…。宛名の敬称がムッシュー(英語の“ミスター”です)になっていることは日常茶飯事。外国人の名前なので仕方がないと思うのですが、かなりの高確率でスペルミスの通知を受け取っています。大切なものに関しては、その都度訂正依頼の手紙を書いたりしているのですが、それ以外は面倒臭くて放置状態。

フランス語は母音の発音が難しく、アルファベットの読み方も英語とは異なるため、慣れないうちは口頭で名前や住所のスペルを伝えるのに骨が折れました。
正しく伝達したつもりでも、それを元にやってきた郵便物の名前や住所のスペルが違っていたりすると結構ショックだったり…。

ところで、私が「名前」の話の際に思い出すのが、「チョンユン」という名の韓国人の女の子。パリに来たばかりの頃、3ヶ月間通っていた語学学校のクラスメートで仲が良かった女の子です。
1クラス15人ほどの生徒の中、フランス人の先生にとって「チョンユン」の名前はかなり覚えにくいものだったらしく、「ユンチョン」「チョンチン」などなど、名簿で確認もせず、かなりの頻度で間違った名前を呼んでいたある日、怒ったチョンユンは「ちゃんと名前を覚えられないのなら、今日から私のことを“カトリーヌ”と呼んで下さい!」と先生に訴えたのでした。
その日を境に彼女は正しい名前で呼ばれるようになりました。

パリは人種がミックスしているため、ウチのアパートの郵便受けを例にとっても、フランス人ではなさそうな名前が何人か表記してあります。
フランス人に関しては、出生児にカレンダーに載っているカトリックの聖人の名前(フランスのカレンダーにはほとんど毎日違う聖人の名前が載っています)や歴史上の有名人の名前を付けることになっていたらしいのですが、1993年の民法改正で命名が自由になったようです。

今の所、覚えられないほどの名前の友人が出来たことはないのですが、馴染みのない名前の人に出会う度、上記の“カトリーヌ”事件を思い出し、やはり名前はきちんと覚えよう…と思うのであります。


PS:パリは随分暖かくなり、久々に、
以前お世話になっていた日本人の先生の
スケッチ教室に参加してきました。

2006年5月8日
荒木 芳栄