■フランス情報 mail from France #46
物乞い事情
パリで驚くことの一つが、「物乞いをする人の多さ」。日本では、ホームレスの人を見かけることはあっても、路上に座り込んでお金を乞う人の姿を見かけたことがなかったので、正直言って渡仏当初は大変に驚きました。しかも、中にはかなり若い人もいたりするので更にオドロキでした。
各々テリトリーがあったりするのか、同じ場所の方が都合がいいのか、うちの近所ではいつも同じ場所で同じ物乞いの人を見かけます。私が毎日メトロの駅に行く途中で見かける物乞いのおばちゃんとは頻繁に会うせいか結構仲良しで、会う度に挨拶もしてくれるし、時々話もするし、先月「最近アトリエで仕事してるんだよ」という話をしたら、それ以来毎朝「BON COURAGE!(頑張って!)」と励ましてくれるようになりました。…と言っても、お金や物を渡したことは一度もなく、夜になるとおばちゃんの姿が消えるので、その生活は未だ謎に包まれています。
真偽のほどは定かではありませんが、フランス人は犬好きなので犬を連れている方が稼ぎが良いとか…(ただし、犬などを使って脅した場合は、禁固最高6ヶ月に罰金3750ユーロなんだそうです)。他にも、子供を抱いた物乞いの女性や(男性もいます)、身体にハンディを負った人など、とにかく至る所でいろいろな人を見かけます。
昨日は、たまたま昼食でファーストフード店に入ったのですが、食事をしていると目の前にスカーフを被った東欧人風の若い女性が…。と、思っていると、いきなり「お金をちょうだい」と手を伸ばしてきました。こういったシチュエーションにはやや慣れてはきたものの、さすがに食事中はあまり経験がないので呆気にとられていると、「じゃあ、そのケチャップをちょうだい」…。言われるがまま、手元にあったケチャップやマヨネーズを一式手渡しました。
以前も、やはり同じ店内で、購入したフライドチキンを食べようとしていたら、突如物乞いのおじさんが隣に現れ「1個ちょうだい」…。日本では考えられないことが起こったりします。
パリに来たばかりの頃は、物乞いの人を見るとさすがに気の毒に思うことが多く、通りすがりに小銭を渡したりしたこともありましたが、知り合いから、中には案外暮らし向きのいい人もいるようなことを耳にし(これも真偽のほどは定かではありませんが…)、それからは物乞いの人を見かけても見て見ぬふりをするようになってしまいました。
酔狂でこんなマネはしないだろうと思うのですが、でっぷり太った物乞いの人を見かけると、「やはり良い暮らしをしているんだろうか…?」とついつい思ったりしてしまうのであります。
パリは人種も職種も坩堝。「生きる」ということを多いに考えさせられる町です。

以前登ったフレンチアルプスの写真です。
2006年9月17日
荒木 芳栄 |