2006.September

■フランス情報 mail from France #46

物乞い事情
パリで驚くことの一つが、「物乞いをする人の多さ」。日本では、ホームレスの人を見かけることはあっても、路上に座り込んでお金を乞う人の姿を見かけたことがなかったので、正直言って渡仏当初は大変に驚きました。しかも、中にはかなり若い人もいたりするので更にオドロキでした。

各々テリトリーがあったりするのか、同じ場所の方が都合がいいのか、うちの近所ではいつも同じ場所で同じ物乞いの人を見かけます。私が毎日メトロの駅に行く途中で見かける物乞いのおばちゃんとは頻繁に会うせいか結構仲良しで、会う度に挨拶もしてくれるし、時々話もするし、先月「最近アトリエで仕事してるんだよ」という話をしたら、それ以来毎朝「BON COURAGE!(頑張って!)」と励ましてくれるようになりました。…と言っても、お金や物を渡したことは一度もなく、夜になるとおばちゃんの姿が消えるので、その生活は未だ謎に包まれています。

真偽のほどは定かではありませんが、フランス人は犬好きなので犬を連れている方が稼ぎが良いとか…(ただし、犬などを使って脅した場合は、禁固最高6ヶ月に罰金3750ユーロなんだそうです)。他にも、子供を抱いた物乞いの女性や(男性もいます)、身体にハンディを負った人など、とにかく至る所でいろいろな人を見かけます。

昨日は、たまたま昼食でファーストフード店に入ったのですが、食事をしていると目の前にスカーフを被った東欧人風の若い女性が…。と、思っていると、いきなり「お金をちょうだい」と手を伸ばしてきました。こういったシチュエーションにはやや慣れてはきたものの、さすがに食事中はあまり経験がないので呆気にとられていると、「じゃあ、そのケチャップをちょうだい」…。言われるがまま、手元にあったケチャップやマヨネーズを一式手渡しました。

以前も、やはり同じ店内で、購入したフライドチキンを食べようとしていたら、突如物乞いのおじさんが隣に現れ「1個ちょうだい」…。日本では考えられないことが起こったりします。

パリに来たばかりの頃は、物乞いの人を見るとさすがに気の毒に思うことが多く、通りすがりに小銭を渡したりしたこともありましたが、知り合いから、中には案外暮らし向きのいい人もいるようなことを耳にし(これも真偽のほどは定かではありませんが…)、それからは物乞いの人を見かけても見て見ぬふりをするようになってしまいました。

酔狂でこんなマネはしないだろうと思うのですが、でっぷり太った物乞いの人を見かけると、「やはり良い暮らしをしているんだろうか…?」とついつい思ったりしてしまうのであります。

パリは人種も職種も坩堝。「生きる」ということを多いに考えさせられる町です。


以前登ったフレンチアルプスの写真です。

2006年9月17日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #45

買い物事情
先日1ユーロが150円になり、さすがに驚きました。こちらに住んでいると、私のような一般人の生活でも為替レートの変動で損益を生じることが多いため(今までのところ「益」の方はありませんが…)、こまめに為替相場のチェックをしたりしています。

パリは、食料品は割合安いように思うのですが、それ以外は付加価値税(日本の消費税のようなものです)や円に換算するクセが手伝って、物価が高いと思うことがしばしば。

フランスでは、TVA(テーヴェーアー)と呼ばれている付加価値税の一般税率が19.6%です。ただし、スーパーの食料品など、生活必需品に関しては5.5%の減額税率が適応されています。
内税なので日頃気にならないことの方が多いのですが、しげしげと買い物レシートのTVAの金額を見たりすると、何でこんなに高い税率なんだと思うこともややあります。買える人が払うという意味では、公平で民主的な税金システムなんだろうか…と思ったりもしますが。

その他、フランスの買い物レシートには、以前の国内通貨のフラン表示もしてあります。私が日本円に換算して金額を考えるのと同じように、長い間慣れ親しんだフランに置き換えるフランス人が未だに沢山いるようです。
買い物ではカードを使用するのはもちろん、小切手を使うことも多々あります。フランス人は現金を持ち歩くのを嫌うため、日本では日常生活で馴染みのない小切手のやり取りがフランスでは当たり前になっています。私はフランス語で金額を書くのが苦手なので、記入する時間がたっぷりあるような時しか小切手を使わないのですが。

買い物一つにしても所変われば…ですね。

2006年9月11日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #44

身分証明書
今週は、単調な1週間だったので、文章にするようなネタがないなぁーと思っていたら、思いがけないものに出くわしてしまいました。

近所を歩いていると、スーパーの前にパトカー数台と警察官が10数人。おまけに、ワゴン車型式のパトカーの中には、中国人と思しき人物が数人。「スーパー強盗かなぁ…?」と思いながら歩いていると、いきなり警察官の一人に行く手を阻まれました。

「あなたはどこの国の出身?それから滞在目的は?」
何だろうと思いつつ、「日本です。絵の勉強でパリに住んでます」と答えると、「パスポートか身分証明書を見せて」と言われたものの、こんな時に限って期限切れの学生証しか手元にない…。仕方がないので取りあえずそれを手渡すと、案の定、「期限の切れていない身分証明書はないの?」とのこと。明らかに不法滞在者調べのようだったので、「私もワゴン車行きかしらん?」と思いながら、「うちにパスポートも滞在許可証もあります。ここから歩いて2分なので、取りに帰るか家まで調べに来てもらってもいいですよ」と返答したら、「わかった。もういいよ」と、事なきを得ました。

私の対応をしてくれたお巡りさんは、幸いにも東京にしばらく住んでいたという親日家らしき警察官で、本来なら身分証明書不携帯で私もワゴン車行きになっていたかもしれないところを大目にみてくれました。ついでに、私の住んでいる界隈は中国人の不法滞在者がとても多いので、その取り締まりをしているのだと教えてくれた上、「今のフランスは移民にとても厳しいから、外出するときは最低でもパスポートや滞在許可証のコピーを必ず携帯するようにしなさい。トラブルになるからね」とアドバイスしてくれました。

…と言う訳で、一つ勉強したと同時に、改めてフランスの移民事情が厳しくなって来たことを実感しました。


パリは先週かなり寒い日が続きました
(最低気温12度〜最高気温20度ぐらい…まだ8月だったというのに…)。
今週は少しマシなようですが、すっかり秋の雰囲気です。
2週間前ブルターニュの海辺に行っていた頃が遙か昔のようです。

2006年9月3日
荒木 芳栄