2007.March

■フランス情報 mail from France #65

個展
またまた私事ですが、昨日からポンピドゥーセンター近くのギャラリーで個展を開催しております。期間は4月12日までの3週間で、昨夜はそのオープニングパーティーを行いました。

まだまだ場数を踏んでいない私にとって作品制作と搬入・展示作業に続くこのオープニングパーティーは緊張のピーク。昨夜もたった3時間のパーティーでしたが、慣れない接客に全精力を使い切った感じでした。


↑今回お世話になったギャラリー ちょっぴり仏教系

話は変わりますが、現在パリのオペラ座で「歌舞伎」が上演されています。つい先日は友人から「チケットが一枚余っているんだけど一緒にどう?」というラッキーな電話まで頂きました。…が、差し迫った個展準備のため泣く泣く断念…。

オペラ座での「歌舞伎」公演は、チケットの売れ行きも評判もとっても良いようです。日本にいた頃、京都の南座で何度か歌舞伎を見たことがあるのですが、こういった日本の伝統芸能が海外に進出して成功している話を耳にするのは日本人として大変に鼻が高いです。

それにしても、成功の裏にある努力や大舞台のプレッシャーというのは並大抵のものではないんだろうなぁーと、昨夜の疲れを引きずりながら思ったりしている週末です。

2007年3月25日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #64

パリの日本人
先日、ひょんな事で在仏25年のピアニストの日本人女性と知り合いになりました。先週は電話連絡のみだったのですが、今週は直接お会いすることになり、御自宅にお伺いさせて頂きました。
本業はもちろんピアニストでコンサート活動やピアノの指導等をされているそうなのですが、その他にフランス人スタッフ中心に20名ぐらい在籍されているアソシエーションで様々な文化活動をされていらっしゃるとか…。

最近始められたのが、日本とフランスとセネガルの子供達の「絵の文通」の仲介なのだそうです。御自宅に山積みされていた各国の小学生の絵画作品を拝見させて頂いたのですが、とりわけセネガルっ子は身近な動物や日常生活を描いた素朴な作品が多く、見ていて楽しくなりました(カメラを持っていなかったのがとても残念…日本は節分などの行事、フランスはイメージ的な作品が結構あって興味深かったです)。
「小さな事しかできないけど、それぞれの国の子供達が大きくなった時に『あそこの国の子供とは絵の文通をしていた』という友好的な気持ちが残ったらステキでしょう」と、そのピアニストの方は笑顔でいろいろなお話しをして下さいました。


↑最近油絵で人物を描き始めました。

パリの日本人社会はそんなに大きなものではないと思うのですが、出会う日本人の方々は職種や年齢や価値観などが様々で学ぶことが多々あります。出身地も、北は北海道から南は沖縄まで幅広く(でも、どういう訳か私の周りは東京・大阪・福岡出身者がやたらと多い…)、日本国内における私の行動半径では到底お会いすることがなかった方ばかり。長期滞在の方になればなるほど数多くの修羅場を踏んで来られているようで、肝の据わったスゴイ方も多いです(その上勉強家の方も多いです。見習わなくては…)。

が、残念なことにフランスの在留邦人も減少方向にあるのか、先日日本人経営者の美容室に行った時も、そこで働いているフランス人スタッフから「ここは日本の美容室だけど、最近は中国人や韓国人の方が多いのよ」と言われました。私の友人もここのところ立て続けに本帰国しており、身の回りを例にとっても帰国の途につく人が増加傾向。外国に住んでいる宿命とは言え、やはり寂しい限りです。

2007年3月18日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #63

禅道場
友達の紹介で、最近パリの禅道場に通っています。…と言っても、私は今の所土曜日だけ参禅していて昨日で2回目。

パリの13区、中華街のあるTOLBIAC(トルビアック)に、弟子丸泰仙(でしまるたいせん)という日本人僧侶が開かれた曹洞宗の禅道場があります。かなり規律正しい本格的な禅道場で、前回もそうでしたが昨日も40人ほど参禅していて、その人数の多さに驚きました。しかも、来ているフランス人(ひょっとしたら外国人も)の9割ぐらいが簡易の衣を着ていたので更に驚き。誰が本物の僧侶で、誰が一般人なのか見分けがつかなかったのですが、共通項はみんな大変に感じが良かったということでしょうか…。禅語の書が掛けてあったり日本語で挨拶してくれる人もいて、私にとってちょっとホッとする空間でもあります(残念ながら日本人はほとんどいない様子でしたが…)。


↑昨年「十牛図(じゅうぎゅうず)」という
禅の文献を参考に制作した版画のうちの1枚です。

坐禅場に入ると、最初30分坐禅(臨済宗は壁を背に坐りますが、曹洞宗は壁に向かって坐禅を組みます)、その後5分ほど歩いて足のしびれを取り(これも作法がありました)、再び30分坐禅。最後に「般若心経」を読経して終了。「般若心経」を暗記している人が多いのにも驚かされました。
坐禅中は「警策」もまわってきたり…で(希望すれば打ってもらえます)、ただ黙々と坐っているだけなのですが、道場からの帰り道は何となくスッキリした気分になりました。

日本で禅寺に勤務していた頃「坐禅で何か得ようと思うな。坐禅とは捨てるものだ」と言われていたのですが、まだまだ山のように執着しているものがあるので、当分の間坐禅に通いながら自分を内観してみようと思っています。

2007年3月11日
荒木 芳栄


■フランス情報 mail from France #62

フランス大統領選挙
フランスでは間もなく大統領選挙です。フランスの大統領選は2回投票制で、1回目の投票(候補者決定のための予選)が今年は4月22日。そこで勝ち残った2人が2回目の決選投票(今年は5月6日)に進出出来るというシステムのようです。任期は5年で、国民の直接選挙で選出されます(代議士の推薦も500点以上必要らしいです)。

現在、フランス大統領候補者は15名弱(確か13名だったと思います)。候補者の顔ぶれがユニークな感じで、政治に疎い私も興味津々。

まず、現時点で首位争いをしているのがニコラ・サルコジ( Nicolas SARKOZY )とセゴレーヌ・ロワイヤル( Segolene ROYAL )。サルコジは現内務大臣で「国民運動連合(UMP)」という右派与党の党首。タカ派で不法移民に大変厳しく、個人的にはできれば大統領にはなって欲しくないと思ったりしていますが、論戦に強く実行力もあるので、世論調査では今の所トップの支持率を保っています。

次点のセゴレーヌ・ロワイヤルは左派野党の「社会党」。環境大臣・教育大臣も務めた4児の母。エレガントな容姿で人気もあるようですが、ここのところ支持率は下降気味。政治方針が曖昧らしく、私の友人のフランス人も「彼女は役不足」と批判的。果たして、初の女性大統領となるのでしょうか??

シラク大統領は公私共々、大の親日家として知られていますが、このサルコジもロワイヤルも大の中国贔屓。サルコジに至っては、過去に日本を酷評したことも有名な話…。この2人の首位争いは日本人としてちょっと複雑な心境です。

現在3位で赤丸急上昇なのがフランソワ・バイルー( Francois BAYROU )。中道派「フランス民主連合(UDF)」の党首。コツコツと支持を集め、決選投票まで持ち込めれば大統領の可能性がかなり高いと言われています。
大逆転となるのか見物の人であります。

現在支持率4位なのがジャン=マリー・ルペン( Jean−Marie Le pen )。
極右「国民前線(FN)」の党首。2002年の大統領選ではシラクとの決選投票にもつれ込み話題になった人でもあります(「シラクVSルペン」の予想外な展開になり、みんな慌てて投票に行った…と友達が言っていました)。今の所大統領になる可能性の低い(なられては困る…)、極右の移民排他主義者。

別の意味でも注目されているのがジョセ・ボヴェ( Jose BOVE )。酪農家であり、有名な反グローバリストでもあります。「マクドナルド襲撃事件」で知られている人です。フランス核実験の際には、核実験海域に侵入して中止を訴えフランス海軍によって身柄を拘束されたことも…。遺伝子組み換えトウモロコシも許せないらしく、過去にはバイオテクノロジー企業の倉庫に侵入し、遺伝子組み換えトウモロコシの種子を「変質」させて有罪判決。今年の2月にも遺伝子組み換えトウモロコシを伐採し器物損壊罪で禁固4ヶ月の刑が確定。獄中から選挙戦を展開する、初の「獄中大統領候補」となるようです。

…と言う訳で、今後の展開が大変に興味深い2007年フランス大統領選の主観を交えたレポートでした。

2007年3月4日
荒木 芳栄