2006.September

■香港情報 mail from Hong Kong#08

中秋節のお菓子

 そろそろ中秋節が近づいて来ました。中秋節は旧暦の8月15日で、今年は10月6日にあたります。一年で一番大きくて丸い中秋節の月は、円満と豊作の象徴。この日は美しい秋の月を愛でつつ、家族団欒を楽しむ日になっています。また、中秋節には色とりどりのランタンが街のあちこちにお目見えし、大きな公園ではランタンフェスティバルなども行われます。美しい月と彩り豊かなランタンを楽しみつつ、ブラブラと散策する人でにぎわうのが香港の中秋節の風景です。

 そして中秋節といえば欠かせないのが、この時期限定で売り出される月餅。中秋節が近づくと始まる各菓子メーカーの月餅合戦も、この季節ならではの風物詩と言えるでしょう。私は日本で月餅を食べた記憶があまりないのですが、日本の月餅は確か一年中売られていて小さいながらもずっしりと食べ応えがあり、中身は松の実やナッツが入った黒餡、外側は中華っぽい柄の薄い皮で包まれた饅頭だったと記憶しています。

 香港の月餅はというと、トラディショナルな月餅で言えば白いハスの実をすりつぶした餡の中央に、デーンと塩漬けにした卵の黄身が丸ごと入っています。この中央にある塩漬けの黄身、日本の月餅には入っていなかったと思いますが、これが月を象徴するものなんですね。中には小さな黄身が3つも4つも入っていたりするものもあります。個人的にはちょっとゲゲっと思ってしまうのですが、これも月(黄身)をふんだんに使ったニクイ演出と言えばそうかもしれませんね。

 …しかし。このトラディショナルな月餅、実はウンザリするくらいデカくて、甘くて、重いんです…。最近は色んな種類の月餅がありますが、トラディショナルな月餅で言えば、上記の3つの言葉で十分表現できるのではないかと思います。初めて香港に来た年には月餅に興味津々でしたが、今では毎年ずしりとした手ごたえの月餅を頂く度に、「これ、どうしようかなあ」とその後の処理をつい考えてしまいます。何と言ってもウンザリするのは、ハス餡のあの単調な甘さ。ナッツでも入っていればまた食感が違ってくると思うんですが、さすがに甘いもの好きの私も、3口食べればもう十分というシロモノです。

 香港人ならさすがに月餅に免疫があるのかと思いきや、同僚や友人達は「あれは体に悪い」、とバッサリ。「甘い上に黄身が入っているのでコレステロールも心配だ、自分では食べない」、もしくは「食べても黄身は食べない」と言う人の多いこと。だったらどうして贈るのか?と聞いてみると、「習慣だから」。アッサリしたものです。自分では食べないけど人なら食べるだろうってことなんでしょうが、贈られてきたらどうするんでしょうか。微妙に気になります。

 ちなみに、最近はトラディショナルな月餅とは一線を画す新しい月餅もたくさん出ています。私が好きなのは、冷たい月餅。饅頭の皮が白く、黄身餡(?)の真ん中には確かフルーツジャムのようなものが入っていました。冷たいせいか甘さも控えめに感じて食べやすく、何と言っても小ぶりなのが嬉しい。もちろん、味もイケます。他にもアイス月餅、チーズ月餅、コーヒー月餅、芋餡・ゴマ餡・豆餡月餅などなど、トラディショナルな月餅にはウンザリ気味の人もつい興味をそそられてしまうような月餅がいっぱい。特に新しいもの好きの若者のハートをしっかり掴んでいるようですね。
何はともあれ、この時期香港に来られる方で月餅に興味があれば、まずはやっぱりデカくて甘くて重い正統派の月餅から最初の一歩を踏み出してみられてはいかがでしょうか。

2006年9月24日
宮道伸子


■香港情報 mail from Hong Kong#07

日本VS香港のお弁当

香港に来てからというもの、「おいしいものがいっぱいあっていいですね」と言われる事がよくあります。すっかり当たり前になっていますが、確かに香港にはおいしいものがたくさんあります。本格中華に飲茶をはじめ、西洋から東洋までバラエティに富んだ各国料理、オシャレなものから気取らないローカルのものまで、色んなチョイスで楽しめるカフェ、レストラン&バー。おいしいお店をホッピングするのも、美食の街・香港で暮らす楽しみです。

ただ、やっぱりこれは日本の勝ち!と思ってしまうのは、お昼ごはんのお弁当。(お弁当と言っても手作りではなく、売られているお弁当です。)おかずはバラエティ豊かだし、気をつけようと思ったら、魚、豆類、肉、そして野菜を取り入れてバランス良く食べることだって可能です。コンビニのお弁当でも季節ごとに違うものが出るし、カロリー表示までされてるなんて、今から考えるとなんと細やかな心遣い!色んなものを少しずつというコンセプトの日本のお弁当は、目に楽しく彩り豊か。もちろん単品モノもありますが、ちょこっと漬物や卵焼きがつくなど、小さな箸休めがあるのが嬉しいですよね。

香港のお弁当(正確には、お弁当というより持ち帰りごはん)はというと…これがもう、悲しくなるくらい彩りナシというか、ほぼ「単色」。オフィス近辺のローカル食堂の出前弁当にしても、屋台やスーパーの惣菜コーナーのお弁当にしても、少なくとも自分が今まで食べたお弁当は、ほとんどが大盛りごはんの上におかずが一品か二品ほど無造作に載ったぶっかけごはん。(時々ごはんとおかずが仕切られているものもあるものの、ハッキリ言って大した差はナシ。)日替わりメニューも、やっぱりごはんの上に日替わりおかずが載っているだけの違い。
まあ、見た目は良くないけど味は悪くないし、おなかに入れば同じなのでいいと言えばいいんですが、日本人としてはやっぱり寂しい気もします。また、ボリュームがあるので男性にはピッタリなんですが、女性にとっては多すぎたり、もっと健康的なごはんや色んなおかずを少しずつ食べたい時には困りもの。サラダや麺類、パスタなども選択肢にはあっても、それらもほとんど同じ味をずっと食べ続けなくてはならない「単色」ごはんなので、食べ飽きてしまうんです。


実際のお弁当はこんな感じ。
(この時のおかずは、ピリ辛麻婆茄子とピクルス入り卵焼き。
ドリンク付のお弁当は、通常20香港ドル(300円)ちょっとくらい。)

だからこそ思うのですが、ちょこちょこと色んなおかずが楽しめる幕の内弁当、あれって気が利いてていいですねえ!日本にいた時はほとんど見向きもしませんでしたが、一つのお弁当の中に欲張りにも野菜あり、肉・魚あり、卵焼きあり。おむすび(か、梅干しごはん)と一緒にそれらが彩り良くコンパクトに入ってるなんて、今から考えると素晴らしいアイデアです。…なんて言うと大げさですが、あの良さは海外で暮らして分かるものかもしれませんね。温かいお味噌汁が付くものもあるし、やっぱりお弁当は日本のモンです。(こう思うのは日本人の自分だけかと思っていたら、日本で暮らしていたカナダ人の友人も「日本のお弁当が香港にあったらいいのに」、と先日つぶやいておりました。)

ちなみに、中華料理だって彩り豊かなはずなのに、どうしてお弁当となると「単色」なのか?
個人的に思うのは、料理を大勢でシェアして食べることが多いのが中華料理。色んなものが食べたければ、皆で食べる。一人でレストランで食べたら、量は多いしおかずは一品か二品がいいところ。持ち帰りのお弁当がそれと同じようにおかず一、二品になったところで、別に違和感はないのでしょう。それに、駅弁も行楽弁当もない香港ですが、安くて美味しいお店がそこら中にあるので、わざわざお弁当を持ち歩こうなんて思わない。こう言ってしまえばそれまでですが、そもそもお弁当の概念が違うんでしょうね。お弁当は単に食べたいものを持ち運ぶものであり、見た目や品数の豊富さがどうだろうと、安くておいしくて満腹になればそれでいい…という感じではないでしょうか。様々な食材・食感を少しずつ楽しむことまでお弁当にまで求めるのは、日本ならではかもしれませんね。

もし香港に日本のお弁当チェーンができたら、きっと人気になると思いますよ。だって、香港人は日本食大好き。西洋人も日本食=ヘルシーというイメージがあるので、法外な値段を付けなければきっと売れることでしょう。ぜひとも日本のお弁当チェーンに進出して頂き、香港の昼食事情(および私の昼食事情)を明るくしてほしいものです!

 

2006年9月10日
宮道伸子

追記:
まったく私ごとで恐縮ですが、9月10日めでたく(?)香港生活5年目に突入してしまいました。フラリと香港にやって来てすでに丸4年。これから5年目の生活が始まるのかと思うと、本当に感慨深いものがあります。5年と言えば、もう「フラリと来た」なんて言っている場合じゃありませんので、5年目は香港生活の節目となる年にしたいと思う今日この頃です。これからも地味ながらも素顔の香港生活をご紹介していきますので、引き続きお付き合いくださいね。