■香港情報 mail from Hong Kong#25
返還10年目の香港
今年2007年7月1日は、香港が中国に返還されて10年目。当日の香港では、朝にはお祝いパレード、午後には恒例のデモ行進、そして夜には今までで一番力を入れたという花火大会が行われました。当日は多くの人がパレードや花火を楽しみ、「10年経った今も香港は香港だ!」というお祝いムードが感じられました。
「一国二制度」の名の下で香港のたどって来た10年を私は半分も知りませんが、返還当初は不安だった香港人も、次第に今の状況に慣れてきているような気がします。それと言うのも、中国に返還されても香港では今まで通りデモも行えるし、2003年に50万人デモを引き起こした23条法案も「People’s Power」で阻止したし、言論も中国本土ほどは厳しく抑圧されていません。また、今は特にようやく景気も回復し、現行政府を率いるのも(中央政府の後押しがある人物とはいえ)香港人に人気のドナルド・ツァン氏。普通に暮らす大多数の香港人にとっては、目に見えて実感する返還後の弊害(と言ってしまいます)や、様々な不満や不安はあっても致命的と言える大きな不満を現時点で感じていないのかもしれませんね。それで、10年目の7.1香港返還記念日はイベントとして気楽に楽しんでいる香港人が多かったように思います。
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沿道の人達を楽しませてくれた、華やかなパレード。
写真は中国古代衣装に身を包んだ子供達の山車。
彼らは竹一本で体を支えているんですよ! |
では、目に見えないから1997年以前と現在とでは大して違いがないのかというと、やはりそうではないようです。「People’s Power」で勝利を得たと思っていても、例えば中央政府と香港行政府にNoを突きつけて阻止させた23条はまた持ち上がってくるようですし、以前お伝えした、歴史的に価値のあるセントラルのスターフェリーの時計台も、結局取り壊されてしまいました。その時の情勢や条件付きで政府の意向を変えられても、根本的な改革までには至っていないのです。また、ジャーナリストに対する調査でも、以前よりも報道の自由がなくなったと回答している人が多かったです。2003年の50万人デモを率いた活動家Tsoiさんは、「多くの人が今でも香港は自由な社会だと思っているが、その「自由」のレベルは下がっている」と言っています。また、人権監視グループの関係者も「政治に関心のない香港人は、1997年以前と大して変わらないじゃないか、と思っているかもしれない。でも、現システムに挑む人たちにとっては、大きなリスクに耐えなくてはならない状況になっている」とコメントしていました。「7.1を単なるイベントとして祝うようになるのは問題。1997年以来香港がたどって来た道は、常に批判的な目で見つめていくべきだ。政府から与えられるものを、ただ闇雲に受け取るだけになってしまってはいけない」。Tsoiさんはそう述べています。
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今年のデモ行進には6.8万人の人が参加。
10周年で、参加者数は去年よりアップ。 |
とは言え、香港行政長官ドナルド・ツァン氏は10周年記念の新聞コメントに、経済の発展、生活水準の向上の他に、「開かれた政府を目指し、憲法システムをより民主化したものに発展させる」との意向を語っています。実際、現香港政府は辞任に追い込まれた前行政長官の轍を踏まぬよう、民衆の異議には敏感に対応しています。したがって、どこまで「一国二制度」の中で香港としてのバランスを取っていくかになっていくのでしょうね。

爆竹の様に次々と派手に打ち上げられる花火に、
香港人は大喜び!煙が多かったものの、とてもキレイでした。
私は香港の中も外も知り尽くしたエキスパートではないため、良くも悪くも蚊帳の外から物事を見てしまいます。そんな私が単純に感じた当日の印象は、やっぱり「香港は生き残っている!」というもの。大きな波に飲まれても、それでも香港は生き残ってみせる。お祝いムードの中に、そういった香港人らしい気楽さと気概の両方を感じたのは私だけでしょうか。
2007年7月8日
宮道伸子 |