2008.August

■香港情報 mail from Hong Kong#45

香港の盂蘭盆会

 本当は今回香港で行われるオリンピック競技、乗馬の模様をお届けしたいと思ったのですが、残念ながら行くことができませんでした、残念!代わりに何の話題をお届けしようかなと思ったのですが、8月と言えば(すでに終わってしまいましたが)お盆の月ですし、今回は香港の盂蘭盆会の様子をご紹介致しましょう。

 と言っても、私もこちらの盂蘭盆会に詳しい訳ではないので簡単に言わせて頂くと、旧暦7/14にあの世の門が開き、そこから精霊(特に悪いものだけという訳ではないとのことなので、あえて「精霊」)がこの世に入ってくるそうな。それで、再びその門が閉まるまでにこちらに浮遊している身寄りのない精霊のために、香港の街のあちこちでお線香やごちそうなどをお供えして精霊達を慰め、害をなさないように供養するのだそう。(日本でいう先祖を迎えるお盆に当たるのは、春と秋。つまりお彼岸の頃ですね。)・・・と、盂蘭盆会の行事の警備をしていたお巡りさんに聞きました。(笑)ちなみに、あの世の門が閉じるのは翌日の旧暦7/15とかもう少し長いとか各説ありましたが、まあ旧暦7/14〜15を中心として、とにかくあの世の門が閉じるまでにこうして供養するわけなんです。

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路上で個々にお供え物を供える場合が多いのですが、
ここには大きなお供え物会場(?)が。
この屋台の中に、ごちそうが供えられています

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表情からして閻魔様?
精霊が集まった時に
乗り移られないよう、
こうして近くに神様を祀って
守ってもらうのだとか

ここは純粋にお線香などを供えるところのよう

 この時期は道の色んなところでお供え物が燃やされているんですが、これはすべて精霊があの世で必要と思われる物を燃やしているんだとか。紙のお金をはじめ、紙の服あたりまでは分かるような気がしますが、紙のコンピュータ(立体にできます!)、宝石、下着、お菓子、その他諸々、こんなものまで供える?!というお供物もあったりするんですよ。これらをまとめて焼いて、あの世へと送り届けるんだそうです。日本も仏壇の前にごちそうや果物、お花やお線香をお供えしますが、こんなお金だの宝石だの俗世間の象徴のような品々って、ホントにあの世でも必要なの?って思わず首をひねる日本人(私)。でも、あの世で恥ずかしい思いをしないよう、少なくとも(紙の)お金は絶対に届けるんだそうです。あの世でもお金が大事という発想が、なんだか商売上手の中国人らしいかも?

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豚や鶏の丸焼き、
お饅頭に果物などお供えの
ごちそうがいっぱい!
ちゃんとお椀やお箸も準備しています
この近辺のお店や会社から
供えられた豚の丸焼き。
お供えにもお祝いにも、
豚の丸焼きはなくてはならない一品

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紙で作られた昔の金銀のお金。
ごちそうの側にも紙製品が
色々と供えられていました
手に太鼓やラッパなどを持って歩き、
精霊が迷わないよう導く人達。
道教の服装をしています

 最後は、こうして供えた品をすべて焼いて終了です。これも、送り火と同じようなものでしょうか。香港にはこうして日本と同じような行事があるので、なかなか興味深いです。

2008年8月24日
宮道伸子


■香港情報 mail from Hong Kong#44

香港人の愛国心

 いよいよ北京オリンピックが始まりました。香港では馬術競技が行われるとあって、にわかに乗馬が人気となっているようです。・・・が、スペースのない香港のこと、一体どこで誰が乗馬なんぞをしているんだろう、と不思議に思う今日この頃です。

 2008年8月8日というめでたい日に開会式を迎えた北京オリンピック。(中国では8はめでたい数字なんだそうですよ!)北京の街はさぞやにぎわっていることでしょう。香港でも五輪マスコットを目にしたり、開催中の地上波TVはほとんどオリンピック中継になったりと、北京オリンピックを盛り上げようという意欲を感じます。香港は中国に返還されて今年でもう11年目。徐々に中国化の進む状況に慣れ始めた時期の北京オリンピック開催なので、香港人もこのまま中国への愛国心に火がついてしまうかな?なんてことも思ってしまいます。
 
  そもそも香港人というのは私の知る限りで言うと、香港人であることに誇りを持ち、そのアイデンティティは中国とは異なるものである、と思っている人達。これはもちろん、中国でありながらイギリス植民地となり、文化的にも経済的にも中国本土とは異なる道を歩んできたからこそのことでしょう。「中国本土(中国人)と香港(香港人)は違う」。この言葉と態度は、折に触れて耳にし目にしてきたことでした。(私にとってはどちらも「中国(人)」だったので、初めて香港に来た頃はその強い主張に驚きましたが。)そういう背景もあり、香港で暮らすようになってからは「香港人は香港人。そして香港人の中国に対する思いというのは複雑なものなんだな」、という認識を固めてきました。

 そんな香港もあのSARSを経験し、また中国経済の発展により本土の中国人が潤ってきたことなどから、かつては歓迎とは程遠かった中国本土からの観光客への態度もかなり変わってきました。そして返還以降の中国化の効果なのか、自らを香港人というよりも「自分は中国人」と認識する人も増えてきたようです。また、つい先日起こった四川省の大地震でも香港は中国への救助活動に尽力し、これによって中国との一体感はさらに増したような感じがします。そんな流れの中での北京オリンピックなので、先ほど書いたように香港人の愛国心に拍車がかかるのかな?と思ってしまった次第です。

 そんな折、地元のフリーペーパーで面白い特集をしていました。それはズバリ、香港人の中国に対する愛国心について。そのものズバリの特集なんですが、香港人の中国に対する複雑な思いと愛国心を様々な角度から取り上げていて、なかなか興味深かったです。例えば、昨年12月に行われた調査で「自分は香港人ではなく、中国人である」と回答したのは27%。それが、今年6月には39%にも上ったそうです。また、香港のエスニック・チャイニーズが自らを中国人である、と回答したのは1997年では18.6%でしたが、今年の6月には58%になっていたそうです。これは強い経済力を持ち始めた新しい豊かな中国の国民であるということに誇りを持ち始めたのはもちろん、香港が経済危機に陥った時に中国が助けになったこと、そして現在はビジネスを進めるにしても、中国本土との連携に比重がかかってきていることなどの影響もあるようです。そして、もちろん北京オリンピックの影響も。

 そんな母国に対する愛国心が高まる一方で、「中国本土に住みたいですか?」という質問には、中流クラスの香港人の多くが「No」と回答。また、中国の伝統や祖先などを敬う一方で、インターネットで行われた「もし生まれ変わるとしたら、中国人として生まれたいですか?」という世論調査では、なんと65%の人が「No」と答え、そのサイトは閉鎖されたそうです。ここが香港人のなんとも複雑な思いを表していますよね。

 また、香港で暮らす98%の人にとって、国を愛するということは当然自国の文化的および先祖代々から受け継いできた伝統や遺産を大切にすること。その一方で、国を愛するという時に香港でそれと同じように大切なのは、過去において香港を特別なものにしてきた「忍耐、多様文化主義であること、受け入れること」というような香港ならではの価値観を大事にしていくことだと前香港政府関係者が語っていました。そして、ある政治家が愛国者には二通りあり、一つは権力に対して真実を告げる愛国者であり、もう一つは権力から言われる真実を受け入れる愛国者だと言っていたのも、興味深かったです。香港のことではありますが、つい日本についても考えさせられてしまいましたね。

 以上、香港で北京オリンピック熱が高まる中、この機会に香港人の愛国心についてお届けしました。香港人のアイデンティティについてはまだ書きたいことはあるんですが、長くなってしまったので今回はこのあたりで。オリンピックについては私を含め周辺の友人達も全く冷静そのものなんですが、ひょんなことから馬術競技を観に行くことになりました。次回はそれについて書ければいいなと思ってます。お楽しみに!

2008年8月10日
宮道伸子