2008.June

■香港情報 mail from Hong Kong#41

香港の風景 〜旧市庁舎前のStatue Square〜

 香港島セントラルにある旧市庁舎。その建物の前にはセントラルの憩いの場、そして日曜になるとフィリピン人のアマさん(お手伝いさん)達が大勢で集うStatue Squareがあります。今回は香港の街の風景として、ここをご紹介しましょう。

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Statue Squareのシンボル、旧市庁舎

 この広場ができたのは19世紀末。Statue Squareの名前通り、当初はビクトリア女王、アルバート王子、エドワード7世などの銅像などがあったようですが、現在はHSBC支配人だったサー・トーマス・ジャクソンの銅像があるのみ。実は、これらの銅像は日本とも少なからず縁がありまして、第二次世界大戦中の日本軍占領下にHSBCビル前のライオン像も含めて日本へ移送され、溶かされて銅へと戻る運命になっていたそうです。幸いその運命を免れた銅像は、戦後すべて香港に帰還。行方不明となってしまったものもあるようですが、ビクトリア女王の銅像は銅鑼湾のビクトリア・パークへ、二頭のライオンの銅像は再びHSBCビルの前へ、そしてサー・トーマス・ジャクソンの銅像はStatue Squareのビクトリア・ハーバーを臨む場所へと設置されました。

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サー・トーマス・ジャクソンの銅像

 ビクトリア・ハーバーは現在も埋め立てが続いていますので、Statue Squareからはもうハーバーを見ることはできません。広場から道路を渡ったところにあったフェリー乗り場も、今は移転されて埋め立てられてしまったため、ハーバーは更に遠のいてしまいました。今後この広場からビクトリア・ハーバーがどれだけ遠くなったかで、ハーバーの変遷に思いをはせてみるのも興味深そうです。また、一度は日本へと移送され、戦後にまた戻ってきたという数奇な運命をたどった銅像の歴史を知らなかった私は、それを知った時に少なからず驚きました。新しいビルが立ち並び、若者に日本文化がもてはやされる今の香港で、最悪の時代と言われた日本占領時のことを偲ぶ機会はなかなかありません。いつも何気なく見ていた銅像にそんな戦時中の歴史があったとは・・・と、当時の香港と日本の歴史を垣間見たような気がしました。

 そんな歴史を感じさせる一方で、普段のこの広場はコンクリート・ジャングルであるセントラルのオアシスになっています。気持ちの良い季節にはここでランチを食べる人の姿や観光客の姿が見られ、また日曜になるとたくさんのフィリピン人のアマさん達で大にぎわい。このアマさん大集合の光景を初めて目にする人は、ほぼ例外なくビックリするようですね。私も来た当初は何のお祭りかとビックリしました。(笑)まるでスズメの群れのように広場いっぱいに広がるアマさんの姿と、広場に響く楽しげなおしゃべりの声。これらはすでに日曜日のStatue Squareの風物詩なんですよ。この広場に木が植えられたり噴水が出来たのは1960年代半ばということですが、彼女達にとってこの広場は木や噴水があろうとなかろうと、仲間と日頃の疲れを癒すこの上ないオアシスになっているようです。

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噴水の周りでのんびりするフィリピン人のアマさん達

 ちなみに、このStatue Squareを囲むビル群には、香港を代表する建物が並んでいます。旧市庁舎を始め、香港歴史博物館にもその模型が置かれているHSBCビル、旧中国銀行ビル、高級老舗ホテルのマンダリン・オリエンタル香港。また、この広場から見えるのは香港一高いビルIFC(国際金融センター)ビル、奇抜なデザインの現・中国銀行ビル、香港の大富豪・李嘉誠の長江ビル、パンダをモチーフにしたリッポ・センターなどなど、この広場から香港の華やかなビル建築をパノラマで楽しめると言っても過言ではありません。

 Statue Squareを取り囲む、香港を代表する建築群。香港は狭いだけあって、ビル同士もギュッと詰まって建ってますね!

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HSBCビル(左)とStandard Chartered
銀行ビル(右)
旧市庁舎(左手前)、
旧中国銀行ビル(右手前)中国銀行ビル(左奥)、
長江ビル(右奥)
マンダリン・オリエン
タル香港(左)、
ジャーディン・ハウス
(中)、IFCビル(右)

 そんな華やかなビルの谷間に、しかもこんな一等地にポツンと広場が残されているのは不思議な気もしますが、それは風水のおかげだと聞いたことがあります。一番良い気を持つビクトリア・ピークから下りてくる風(気)がビルで塞き止められることなく海へと吹き抜けるよう、ここは空けておかねばならない空間なんだとか。広場横の山手(ピーク)側にあるHSBCビルの下が吹き抜けになっているのも、ピークからの「気」を通すためらしいです。風水のおかげでこの広場が生き残っているというのも、なんだか香港らしいですね。

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HSBCビルの下の吹き抜け部分。
向こう側が見えているのが分かりますか?

 

 以上、今回は街の風景としてStatue Squareにまつわるあれこれを思うままに取り上げてみました。歴史や今がどうあれ、街の中にこうした憩いの場があるというのは嬉しいです。個人的には、クリスマス・イルミネーションを飾るWinter Festa会場としても定着してきたこの広場、他の季節にも夏祭りや季節を感じられるイベントを催して、更に皆が親しめる場所にして欲しいなあ〜と思うのですが。オーガニック野菜のマーケットでもいいなあ。・・・そういう要望って、どこに出したらいいんでしょうね?(笑)。

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現代的なビルに囲まれたStatue Square

 

 

 

2008年6月22日
宮道伸子


■香港情報 mail from Hong Kong#40

120歳のピーク・トラム

 香港には観光スポットがいくつかありますが、その中の一つであるビクトリア・ピークへ行く交通手段として人気のピーク・トラムが、先月5月30日に120周年を迎えました。

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窓からの眺めも見所のひとつのピーク・トラムは、
行きも帰りも人でいっぱい

 ピーク・トラムが開通したのは、時を遡ること1888年5月30日。当時のビクトリア・ピークは、上流階級の西洋人(そして彼らの中国人使用人達)のみが足を踏み入れることのできる場所でした。そこへ行くには、馬や人力の駕籠、もしくは自分の足で登るしかなかったそうなのですが、そんなピークに麓から山頂までおよそ1.4Km、最も急な勾配は27度という坂道を登るピーク・トラムが開通。ようやくピークに文明開化が訪れます。トラムは主に西洋人やその使用人、軍人や警官などに利用され、その数は初年度で約15万人。これがはずみとなって、ビクトリア・ピーク開発が活発になっていったようです。

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直線に伸びるピーク・トラム沿いの道。
ピークへのハイキング・トレイルは他にもありますが、
ここを歩くのはかなりキツそう!

 現在では毎年490万人もの人が利用するというピーク・トラム。その誕生120周年を記念し、5月末には様々なアトラクションが行われました。5月25〜26日は当時の服装を着たモデル達が現れ、当時の新聞を無料で配って観光客を楽しませた模様。また、開通記念当日の30日には、何と通常片道20ドル(約300円)のトラム料金を開通当時の二等車料金、0.3ドルにするという太っ腹な大サービス!加えて、その日は1888年当時の切符が使用され、駅員さんも当時のユニフォームでお出迎えという凝りよう。おかげで、朝7:30くらいから人が並び始め、午後1時には6000人もの人がピーク・トラムのチケット売り場に並んだそうです。長い人では、8時間待ちだったとか・・・。すでに香港はかなり蒸し暑い季節なので大変だったと思いますが、観光客やトラム・ファンにとっては、とてもいい記念になったことでしょう。

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888年にタイムスリップ
(写真はPeak Tramways Company Ltd.のプレスリリース用写真より)

 5月30日以降も、ピーク・タワーでは写真展が行われたり(5/30〜12/31)、120周年記念のパス(5/30〜8/31)や、トラムの往復チケット&1時間のスターフェリー・クルーズのコンビネーション・チケットが売り出されるなど(6/1〜8/31)、様々に趣向を凝らしたサービスが用意されているようです。この時期に香港に来られる方は、ぜひこれらの特典を楽しんでくださいね。

 ちなみに香港住人にも多少特典がありまして、香港住人必携の香港IDカード番号の最初に「1」、「2」、「0」が入っていればトラムのチケットが2割引、「120」と続き番号になっていればタダでトラムに乗れるんだとか(6月のみ)。しかし、残念ながら私はまったく端にも棒にも引っかからず。やはり、通常料金で乗るか歩くしかなさそうです・・・。

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急な坂道をものともせずにグングン走り去るピーク・トラム

 

 

 

2008年6月8日
宮道伸子