2006.August

■イタリア情報 mail from Italy #8
〜 夏と節水  〜

モデナの街もバカンスが終わると共に、人々やクルマの数が多くなってきました。
猛暑の日々は過去の物となり、9月までさわやかな夏をまだ十分に楽しめそうです。

イタリアでは毎年夏を迎えると、
電気と水の使用量が話題となります。
前者は、暑さから逃れるためのエアコンなどで電気使用量が急上昇するため。
後者は近年の水不足により指摘されています。

後者は近年の水不足により指摘されています。

振り返れば、2003年。
3年前の夏、イタリアは猛烈な暑さに襲われ、誰もが途方にくれました。
また、前年からの降水量が少なかった結果、施行されたのが「節水条例」。
主な内容は、個人宅での植物の水遣り、洗車が午前7時〜午後19時まで禁止。
その他、水道水の無駄な垂れ流し、放水も禁止。
これらの禁止事項を行った場合、市警察は罰金を科するという具合。

今年、2006年は幸いモデナ市ではこの条令は施行されませんでしたが、山間部、一部の町では規制があったようです。
2003年の猛暑を教訓に、イタリアでは夏が始まると盛んに電気の使い方、水の賢い使い方がニュースなどで取り挙げられる様になりました。

電気は、新しく電気製品購入の際に、節電レベルの高い物を選ぶこと。
お洗濯は水を加熱せず、朝は9時前までに、午後は5時以降に行うこと。
水は、野菜を洗った後や、すすぎ物をした洗剤の入っていない水を植物へ水遣りし、再利用を心がけるなど。

私も今年、ベランダで育つ植物たちに、すすぎ物をした水を与えてきましたが、何らかの結果が生じたのでしょう。今年もすくすくと育ち、すてきな緑色の葉っぱでムシムシと暑い夏に涼をそそいでくれました。


2006年の夏もあとほんの少し。
残りを、それぞれの楽しみ方で
満喫してくださいね。

2006年8月20日
Photo & text by福井エリナ


■イタリア情報 mail from Italy #7
〜 採って食べてちょうだいね  〜

夏8月になると、人々は避暑地を目指し、街の中もがらんとなりました。
そんな中、バカンスに出かけた友人から言付けが。
旅行に行っている間、庭の小さな畑に生えているトマトなど野菜の水やりとして欲しい。その代わり、収穫時期になった野菜は採って食べてちょうだいね、と。
もちろん、この話にはすぐに乗りました。トマトでも何でも、購入をする時代。
自由に採って食べてちょうだいね、なんて見逃せません。

そして、とうとう収穫の時が来ました。
今日の収穫は、トマト2種、ミニトマト、グリーンサラダ2種、菜っ葉、ミントの葉。
トマトの木は実の重さで傾いてしまい、早く採ってと言わんばかり。
太陽の光を受けた実は、力強い形をしており、手にずっしり重みを感じます。
ミニトマトもピンポン玉のように丸々と。グリーンサラダも葉っぱの先端が美しいレースの様に波を打ち、生き生き。

どれも形がいびつで、土ほこりにまみれた物揃いですが、お店で見る野菜とは遥かに鮮やかな色をまとっています。

そして収穫をすると、その野菜が持つ香りが漂い始めました。
トマトの青々しい、太陽に当たった証拠の香り。グリーンサラダのかすかな香り。ミントの爽やかで甘い香り。どれもこれも、ジリジリと暑かった夏の日々を忘れさせてしまうような、嬉しい香り。

また、実際に野菜をもぎ取ることで、その難しさも改めて感じ取れます。
トマトはへたからもぎ取らないと、次の実が成りにくくなること。グリーンサラダも土に近いところから刈るようにすること。そして、ミントの元気な茎は、挿し木をして増やすことが出来るなど。


↑さて、どんな風にいただきましょうか。

せっかく畑で採れたのですから、まずは塩だけで、トマトの味を満喫か。
そして次に、モッツァレラで、カプレーゼサラダでしょうか。
完熟のミニトマトは、夏らしい、冷製パスタの一品が似合いそう。
採って食べてちょうだいね、は体の五感も、お腹も、楽しみな様です。

2006年8月15日
Photo & text by福井エリナ


■イタリア情報 mail from Italy #6
〜 新天地を求め、海を渡る  〜

夏も真っ盛りなイタリア。8月になると各地のビーチが水着姿の人々で埋まり、太陽がまぶしく輝いています。
しかし、この平和な光景がイタリア全てのビーチで起こっている訳ではありません。
場所は変わり、南イタリアはシチリア島の諸島の1つ、アフリカ大陸に最も近いランペドゥーサ島。真っ青な海と白い砂浜の光景はリゾート地そのものですが、この島にはもう1つの特徴があります。それは、ボートピープルと呼ばれる難民の人々が降り立つ地であること。
先月7月より海の天候も良かったため、毎日その難民漂着がテレビで報道されました。そのうち一隻の漂着船には200人もの難民が乗り込んでおり、これだけですでに相当な数です。


↑公園の一角。どうして同じ看板が2枚、立っているのでしょう。

このボートピープルの人々は、主に北アフリカの出身。政治状態が不安定、貧しい土地からなど、ありったけのお金を使い、将来という夢のために難民船に乗り込むといわれています。しかし、実際には船上での極度の衰弱、餓死、溺死などに直面し、イタリアで生活の道が見えたとしても、言葉の不自由や、物価高のために家族への仕送りも出来ないなど、過酷な生活を送るという未来も待っています。

公園の約束が、左の看板はイタリア語、
右の看板はアラビア語で書かれています。

今、イタリアの国会ではイタリア国籍取得に必要な条件の1つである滞在年数が協議されています。それは現在、伊国籍取得にはイタリア滞在10年以上、でしたが、協議案は5年以上に縮める、というわけです。
これについて、イタリアの移民問題に少しでも整理が付くという声もあれば、5年のみの滞在で国籍取得は短すぎるのでは、という声も上がっています。

自転車、ローラーブレードでスイスイは、公園でね!
近年、各地にハラルミート専門店、
アフリカンな雑貨店なども増えています。

戦後、アメリカに新天地を求めたイタリアが、現代に抱える移民問題。
未だかつてない移民の急増に、外国人による犯罪も増えているのも事実です。
近年には、公共の場に設置された看板に外国語の表示が入るようになりました。
人権が危機にさらされている人々の保護、国民の安全な生活の確保。
異文化の理解と習得、歴史文化遺産の引継と保存。
出口が見えない、繊細な問題を多く持つイタリアですが、未来の姿はどの様になっているでしょうか。

2006年8月6日
Photo & text by福井エリナ


■イタリア情報 mail from Italy #5
〜 洗濯物語  〜

先日、義母アンナ、主人の弟のフィアンセ、モニカと話していた時。
洗濯の話題が出て来ました。それは、アンナが南イタリアのプーリア州、ターラントを旅行した際。旅の途中で溜まった洗濯物をしたら素晴らしい出来で、それが忘れられないと言うのです。遠い土地を見物出来るのが旅行の醍醐味なのに、ホテルの一夜での洗濯が忘れられないとは、一体何が起こったのでしょうか。
アンナ曰く、
「白いTシャツを手洗いしたけれど、あんなに透き通る白さは初めて体験した」

私はその「白さ」にピンと来ず、そこでサルデニア島出身のモニカが説明を加えてくれました。
彼女の幼い頃暮らしたサルデニア島の洗濯物は仕上がりがパリっと美しく、それは島の水質のためであり、硬水地帯のモデナに住んでからは、あの素晴らしい仕上がりは一度も体験したことがないと。
←イタリアの水質分布図。
 赤色に近くなるほど、
 硬水の地域。

私はイタリア各地にて洗濯の経験がないため、彼女たちが絶賛する違いが分からずのまま。しかし、周りを石山に囲まれた北イタリアは水に含まれる「石灰」で四苦八苦をする土地でもあります。ここで、一例をご披露してみましょう。

まず、洗濯には洗剤の他、柔軟剤、石灰予防効果がある硬度中和剤を使いま
す。
柔軟剤を使うかは肌触りの好みによると思いますが、硬水地域の場合はある程度使わないと、洗った衣服は鋼鉄のごとく固くゴワゴワとなります。そこで、イタリアではいろいろな効果と香りを持った柔軟剤が多種売られています。
時には季節と共に柔軟剤の香りも変えてみる、という楽しみ方も出来ます。
左から濃い色専用洗剤、→
普通洗剤、柔軟剤。 
硬水は色もあせやすいとか。 

次に、石灰予防効果ありの硬度中和剤。
これは日本ではまず見られない物でしょう。
粉、またはジェル状とあります。
実は、欧州で使われる洗濯機には水を温めるヒーター部が内蔵されています。
そこで、硬度中和剤
なしで水を温めるとたちまち、ヒーター部分が石灰の結晶で真っ白にまみれ。一度溜まった石灰は、排水機構や機械自身の寿命にも悪影響を与えてしまうため、こんな品が存在するのです。
私も「洗濯機様よ、いつまでも若々しく」と祈りながら、洗濯時に中和剤を投入しています。

しかし、各地で水質の違いがあっても、夏の光にあてられ、太陽の香りをいっぱい含んだ洗濯物ほど、気持ちの良いものはありませんね。

2006年7月30日
Photo & text by福井エリナ