2007.September

■イタリア情報 mail from Italy #41
〜 昭和42年、定価690円のイタリア 〜

今回も、おかしなタイトルから始まりますが、この「定価690円のイタリア」は、私の本棚にある本を意味します。昭和42年に出版され、題名はずばり「イタリア」。
ナポリ民謡の17cmレコードが付録され、定価は690円。

現代の旅行ガイドにあるような「このホテルは、2007年リニューアル」な手引ではなく、読んでイタリア旅行気分や、知識を得るのがメインテーマになっています。しかし、40年前の690円と言いますと、なかなかのお値段だと思います。

何で、40年前ものイタリアについて語る本をわざわざイタリアに持って来たか。数年前、この本に出会った時、ペラペラと捲ったら、参考にしたいイタリア文化だとか、経済成長をしていた60年代イタリアの背景などが当時の姿で鮮やかに、この国ついて長く研究なさっていられる日本の方たちにより、記述がなされていたからです。

今読んでも、筆者の斬新に感じられる言葉の流れや、研ぎ澄まされた言葉の選び方。
ああ私もこんな切り口でイタリアを語ってみたい、この言葉は是非に覚えておきたい、数行読んだだけで、そんな思いが溢れてきます。

本の中に含まれているイタリアのカラー写真も、道を行くクルマは当事の大衆車、フィアット500や850ばかりで、超特急と説明が入った電車は、セッテベッロ(日本の特急、ロマンスカーのモデルとなった展望特急車)。女性のヘアスタイルは、美容室でこんもりとセットされた物で、ローマのトレビの泉では、パンツ一丁になって飛び込んでいる輩も!(今これを行ったら、市警察のお縄になります!)

今やイタリアも、ドイツや日本のクルマが増えて、フィアット500は初代から数えると3代目が7月に発表されました。リラもユーロに変わり、物価が激変しつつも、イタリアの人々は変わらず、世界に羽ばたくイタリアの品々に誇りを持っています。一昔前は「ヨーロッパの田舎」と比喩されたイタリアですが、この戦後経済成長があったからこそ、今のメイド・イン・イタリーがあるのでしょう。
いつかこのイタリアページにても、戦後のイタリアを紹介したいと思います。

2007年9月17日
Text by福井エリナ


■イタリア情報 mail from Italy #40
〜 モデナの感動−パバロッティ 〜

9月6日、パバロッティがこの世に別れを告げたニュースは、モデナに1つ幕が降りたと同じ意味でした。

6日からの3日間にモデナで一体何が起こったか、ここに書き記すには、心を捻じ曲げられる痛みが走ります。

パバロッティは生まれ故郷モデナを心底愛し続け、その証拠に彼の街のシンボル、モデナの大聖堂が全世界のメディアにその記録が刻まれました。

私たちの手の中に残してくれた「パバロッティのモデナ」。これからも街の偉大なる財産となっていくことでしょう。

そこでパバロッティのベスト盤CD等から、ほんの少しだけを選りすぐってみたいと思います。
パバロッティが有名なのは知っているけれど「何を聞いていいか分からない」、「クラシックは縁遠い」という方の、初めの一歩になればと思います。

La donna e mobile―女心の歌、
ヴェルディ作曲オペラ、リゴレットより

Nessun dorma―誰も寝てはならぬ
プッチーニ作曲オペラ、トゥーランドットより

La traviata: Libiamo ne' lieti calici "Brindisi"
ヴェルディ作曲オペラ、椿姫より

オペラ作品で、この3点は欠かすことが出来ないでしょう。
パバロッティのはじけるような声量、空を貫くような高音が、戦後モデナに明るい光や勇気をもたらし、故郷の誇りとなっていったのです。

60年代のデビュー当時、パバロッティは高音域もやってのけるテノールでしたが、後に声質に深みが加わり、甘さも苦さも知った男の声へと変化。
キャリアを始めた若き頃の写真を見ると、まだ方向が定まらないキョロキョロした雰囲気もあり。その後、70年代付近から、彼の表情や存在は、いよいよ旬を迎え始めるのです。職人によって磨き上げられた、彫刻の様な重厚感ある姿。こんな点からも、人間は自由自在で面白い生き物と思わせてくれます。

それから時代は飛んで、80年代。
魂まで震わせる無敵の声は、ポップ歌謡界まで制覇。モデナっ子は「新しい物好き」と比喩されますが、クラシックの枠を超えた挑戦も、モデナDNAの影響だったのかも…。

Caruso−カルーゾ
ルーチョ・ダッラ作曲(1988)

苦しく、心を痛みつける愛を歌った曲。ダッラは現在も活躍中のポップ歌手ですが、この歌を作曲した際、彼はパバロッティと面識は無いもの「パバロッティが歌ったら…」と願ったとか。しかしその後、不思議な縁でこの最高なるデュエットが実現したそうです。

Miserere−ミゼレーレ
ズッケロ&パバロッティのデュエット(1992)

エミリア・ロマーニャ州出身の2人が歌う、壮大なメロディー。
音が流れ始めるとパバロッティの歌声が問うように、心はイタリアの青く濃い大空に開放され、緑が広がる丘が脳裏に広がります。

たった5曲の紹介ですが、どなたにも是非に巡り会って欲しい曲ばかりです。パバロッティよ、永遠に。

2007年9月11日
Text by福井エリナ


■イタリア情報 mail from Italy #39
〜 和風なジェラート、いかが? 〜

イタリアは、ジェラート誕生の地であります。
しかし、地方によって味の好み、クリーミーか、ガリガリ気味など、滑らかさの好みも異なること、ご存知でしたか?

今回は、ボローニャの中心街にて発見した、ユニークなジェラートのご紹介。

街の通りを歩いていると、手作りジェラートのお店に、MATCHAと目に飛び込んで来ました。聞くと、抹茶味のジェラートとシェイクがあり、この時は、シェイクのみ販売。一体どんな味と挑戦したところ、とてもクリーミーなシェイクで、抹茶のギュッと濃い味に慣れた日本人には薄い、風味程度の味付けでした。


しかし、どうしてお抹茶に挑戦をしたのか、そのきっかけを伺ったら、アメリカのジェラート職人さんからの紹介だったとか。「お抹茶は色も鮮やかで、より配分を増量したい。けれど、これ以上増やすと、イタリアの方の味覚に合わないため、少量の配合で作っているの」とのお話。

一方、和風に見立てたお持ち帰りカップはすでに高い人気を得ているそう。良く見ると純和風なジェラートではありませんが、雰囲気を上手に捉えていること。アクセントの赤い実も、サクランボでキュート!



お友達宅の訪問など、皆さんはどんな手土産を選びますか。イタリアでは、パックに詰めてもらったお持ち帰りジェラートが気軽でとっても便利。誰にでも喜ばれる、美味しい手土産です。

2007年8月30日
Text & photo by福井エリナ