2004.June

■メール・フロム・ニューヨーク #42

 みなさん毎日朝の通勤時には、何を読んでいらっしゃいますか?新聞?雑誌?それとも携帯からの情報チェック!?
 マンハッタンに通勤する人の多くは地下鉄を利用するため、携帯の電波は届かないので携帯に送られてくる情報をチェックしている人は殆ど見かけません。(そもそもアメリカの携帯電話は"電話"として使う人が断然多く、メールや情報を読むためのツールとして使っている人は少ないのですが…。)
 地下鉄の中をグルリと見回してみると新聞を読んでいる人が多いのに気が付きます。『ニューヨークタイムズ』(1ドル)?それとも『デイリーニュース』(25セント)?etc・・・いやいや、最近はお金を払わなくてもニュースが読める無料新聞をニューヨーカーは読んでいるのです。

 フリーペーパーが溢れるニューヨークに、昨年10月に発刊された『amNew York』("エーエム・ニューヨーク"日刊/発行部数20万部)は、タブロイドサイズの無料の新聞。記事には政治・社会・スポーツなどのニュースから、映画そしてマンハッタンでのホットなイベント情報までもが掲載されています。
 今年5月には、競合紙も現れました。『Metro』(日刊/発行部数25万部)は、『amNew York』同様にタブロイドサイズで、ニュースからファッション、スポーツ、ローカル情報などが満載。両紙ともカラーで32ページと薄く、記事も数
パラグラフと短くてサクッと読めてしまうのがウリ。

 20〜35歳のターゲット層を確実に掴むためか、両紙ともに主要駅前では朝10時ごろまで手渡しも行われています。「フリーペーパー『amNew York』!フリーペーパー!」と左側の『amNew York』配布者が言うと、「『Metro』!『Metro』!」と右側の『Metro』配布者も負けずに声を張り上げ、そのリズミカルで陽気な声に合わせて手渡しされる新聞を受け取ると、もれなく彼らの"笑顔"も付いてきます!

この無料新聞『amNew York』『Metor』は、街角に設置されたフリーペーパー専用ボックスからも入手可能。マンハッタンの街角には、この他にもフリーペーパーのボックスが数多く設置されていて、例えばニューヨークの最新イベント情報が得られる『Village Voice』(毎週水曜日発行)や『New York Press』、そしてジョーク満載の『Onion』紙は人気の高いフリーペーパー。
 さて、この『amNew York』紙の出資元と言えば、新聞社大手のトリビューン社。トリビューン社は2002年にシカゴで無料新聞『Red Eye』(日刊9万部)を発行して以来、ボストン、フィラデルフィア、トロントにも拡大し、2003年10月にニューヨークでの発行に至りました。シカゴではシカゴ・サン・タイムズ社発行の無料新
聞『Red Steak』も現われ、さらにワシントン・ポスト紙も無料新聞の発行を始めたりと、全米各地域での無料新聞の発刊ラッシュが続いています。いずれも通勤時にサラッと読め、25〜35歳の若者層をターゲットとしていることが共通点。

 このような無料新聞の発刊が目立つ理由の一つには、若者の新聞離れが挙げられています。ノースウェスタン大学の最近の調査によると、18〜24歳の若者の40%は新聞を全く読まないという結果もあり、最近の若者の傾向としては、ニュースは知りたいけれど分厚い新聞を広げて時間をかけてまでは読みたくはない…というのが本音のよう。彼らを読者としてガッチリと掴み直すために始まったこの無料新聞配布。約20〜25分の通勤時間内にサラッと読みきれるよう記事は短く、カラーで目を引くイラストを多く使ったり、若者が好む映画批評家による記事を掲載したりと工夫も伺えます。
新聞を読まない人の割合(年齢別)
18〜24歳:39.7%
25〜44歳:41.7%
45〜64歳:28.7%
65歳以上:27.7%
新聞を読むのに費やす時間
18〜24歳:37.3分(週末)、18.8分(平日) 25〜44歳:33.6分(週末)、11.2分(平日) 45〜64歳:44.9分(週末)、19.2分(平日) 65歳以上:54.0分(週末)、25.3分(平日)
ノースウェスタン大学・メディアマネージメントセンター調査による

 無料新聞は読者にとっては嬉しいことだけれど、「ワシントン・ポスト社やトリビューン社が発行しているもともとの新聞(有料)の読者を奪うことになるのでは?」という懸念の声も聞こえ始めていて、この辺りのバランスも新聞社にとっては難しいところのようです。

June 21, 2004
前田直子


■メール・フロム・ニューヨーク #41

 夏になると増えるのがパーティのお誘い。週末は友達を誘ってワイワイ、ガヤガヤ、ホームパーティをして楽しく過ごそう!と、パーティー好きのニューヨーカーは何でも理由を付けてはすぐに集合してしまいます。

 先週末に私が受け取ったパーティのお誘いは、日本人の友人が主催した"串揚げ"の会でした。牛肉、豚肉とにらのロール、ハムと青しそのロール、アスパラ、長ねぎ、にんにく、さつまいも、えのきのベーコン巻き、うずらの卵、カマンベール、お餅、つくね、しいたけのつくね詰め、ピーマンのつくね詰め、れんこん、ほたて、ポテトのベーコン巻き、えびのしそ巻き、長いもの海苔巻き、タマネギ、はんぺん、なす、ソーセージ、ズッキーニ、三つ葉の白身魚巻き、バナナ、プチトマト、カリフラワー、鶏ささ身のたらこロール、豆腐などなど。皆で持ち寄った串揚げに冷え冷えビールを頂くだなんて、これはやっぱり行くしかない。パーティの盛り上げ役"ヤミ"料理を忘れずに!という主催者からのコメントに従って、私もある"ヤミ"を用意して友達宅へ向かいました。みんなどんな"ヤミ鍋"ならぬ"ヤミ串"を作ってくるのでしょう…?

 串揚げなんて3年ぶり!えびのしそ巻きにえのきのベーコン巻き、おいしぃ〜。まだまだいけるぞーとばかりに、思いっきり掴んだ串揚げはゴロッとした感じが微妙に怪しい…。手にとってしまったら、ガブッといくしかないなぁと、口に入れた瞬間、奥のテーブルから笑みを浮かべて私の様子を伺っていたのがアメリカ人のダニエル君。ウニャっとしたこの食感。そしてビターな甘さ。なんだこりゃ!?…どうやら、ダニエル君が用意した"ヤミ"は"スニッカーズの串揚げ"だったよう。マズくはないけど、自ら進んでは食べたくないお味。ダニエル君曰く、このスニッカーズの揚げ物はアメリカの南部の地域では日常的に食べられているスウィーツなんだとか。

 さて、私が用意した"ヤミ"は油揚げの中に納豆をいれた宝袋。これに"ウズラの卵""シソ梅ニンニク""ベビースター"のネタを加えて、種類まで楽しめる工夫もしてみました。いくら日本食ブームとは言え、アメリカ人で納豆を食べられる人は、まだまだ少ないもんねー。ウッシッシ。揚げたてアツアツのものをテーブルに出したら、日系二世のボブ君が我先に手を伸ばし――パクッ。突然顔色が変わり出てきた言葉は「デリシャス!アイ・ラブ・ナットー」とビックスマイル付きの予期せぬコメント。あぁ、"ヤミ"になってなかったか。

 日本人のヤスコが持ってきたのは、スパニッシュ・デリで買ってきたという"サボテン"。日本人の間では、「エッ?食べられるの?」と引き気味のリアクションでしたが、アリゾナ出身のサンディは「サボテンは日常的に食べるのよ!」とパクパクパク。これも全く"ヤミ"にならず。

 ある地域では、スニッカーズ揚げは美味しいデザートだったり、サボテンを食べるのも日常のことだったり…ちょっとした文化の違いで普通じゃないことが普通であったり、面白い発見のあった初夏の夜の串揚げパーティでした。

June 13, 2004
前田直子